第13章 青い髪、赤い血
(雅……)
雅とは、同級生としてこれからと仲良くしたい気持ちは変わらない。
だが、昨日のアイツは、明らかにいつも違った。
あれだけ血だらけだったのに、冷静すぎた。
もしかして、誰かに傷を負わせたのか?
あのよく分からない男達の仲間から刀を奪い、そして斬った。
怪我した者はその場を走り去り、残った者は雅を怖がっているときに、俺が丁度到着した。
そう考えれば辻褄があう。
桂は知らず知らずのうち、冷や汗をかいていた。
あの時の雅まるで、昔話に出てくる化け物のような……
(こんなこと、仲間が考えることじゃない…)
桂は廊下で立ち止まった。
これから俺は、アイツの前でどんな顔をすればいいんだ?
「小太郎」
松陽先生が丁度いいタイミングで、桂の前に現れた。
「先生!少しお聞きしたいことが」
「ええ。私も話しておきたいことがあります。お茶菓子と一緒にいかがですか?」
「え?」
桂と松陽は台所に隣する畳の部屋で、和菓子とお茶を頂くことになった。
机を挟んで向かい合わせで、座布団の上に正座になった。
「あの…先生。お話するのにこれほど用意されるとは思わなくて、その…」
「ハハハ。ちょうどおいしいお菓子を、先日中谷さんに頂いたので、ぜひ小太郎に振る舞いたくて」
「は、はい」
(え?中谷さんって誰?)
松陽は丁寧な手つきで急須にお湯を入れて、湯飲みにお茶を注いで桂にソッとあげた。
「それに君には昨晩、晋助と銀時の面倒を見てもらったのですから。面倒見のいい君には、いつも感謝しています」
「……先生、昨日雅は、大丈夫でしたか?」
桂はまず、雅の安否について聞くことにした。
今日、松下村塾で彼女が普通だったのは確認済みだったが、教室で見かけたときは本当にびっくりした。
てっきり、松陽が彼女を休ませると思っていたから。
いつもと同じ無表情な彼女で、安心と同時に不安になった。
「ええ。帰りを誰にも見られないようにするのは、少し大変でしたが。あの後彼女をお風呂に入れました」
そうですか……え?お風呂?