第13章 青い髪、赤い血
「面白い発想だな。国の秩序も何もかも全てひっくり返して、世界征服でもするつもりか?」
「ハッ。俺はそれぐらいやる覚悟で、この戦にかけてるよ。そうでもしねーと、“あの人”が安心して俺達の元に帰ってこれねえ気がする」
「……」
私はずっと前から思っていたことがある。
松陽先生と母さんは、どことなく似ている。
たとえ世に背くようなことをしても、何か大事な物のために、その足を止めなかったところが。
松陽は、子ども達の成長を見届けるという自分の武士道を貫くために。
母さんは、私と父さんを、家族を護るために。
私と晋助がここにいるのは、そんな人たちのおかげってことか…
「でも、そんなにうまくいくかね。ドラクエとはわけが違うんだよ」
「そのためにてめーがいるんだろ。じゃあお前、何で戦に参加した?」
ピタッ
雅は高杉と目を合わせた。
「てめーが国のために戦うつもりが無かったなら、何のためだ?」
母親を罪人にした、国への復讐のためか?
「……それは教えない。言ったら願掛けにならないでしょ」
自分の過去については話してくれたのに、戦の動機については全く話す気がないらしい。
(しかし、まさか雅の母親が…幕府の関係者だったとは。確かに隊士たちに知られたら、雅の立場が危うくなるかもしれねェな)
!!。いや待て……だったら…
「親父は?父親は、今どこにいるんだ?」
母親がそんな苦労をしょい込んでいながら、ソイツを攫った張本人であるその馬の骨とやらは、どうなっているんだ?
雅は両手の平を横に広げた。
「……さあ、生きてるのか死んでるのか。昔、姿を消したっきり会ってない」
は?知らないだと?
「てめーの母親が死んた時は…」
「……」
雅の浮かない顔で分かった。その前からすでにいなかったのだ。
「無責任な男だな。大事な女2人も置いていくなんて」
「それは違う。父さんも人攫いの罪で咎人になっていたから、色々と事情があったんだ」
名家の人間だった母親を攫った罪だ。
「それに、母さんが心底惚れていた男だから、悪い人じゃなかったんだろう……」
そういっている割には、何か納得していないような顔をしていた。
「もしかして…父親を憎んでるのか?」