第13章 青い髪、赤い血
「こらこら銀時。自分だけでなく他の友達にも分けてあげなさい」
「俺はいらねー。あとコイツのダチになった覚えもねーよ」
高杉は即答である。嫌いな奴が口に付けた物は食べないと。
「俺はあとでそば食べるのでいいです」
桂も断った。武士は質素な物を食していればいいという気構えがあったから。
「そうですか。じゃあ雅はどうですか?」
「……あの、どっちが綿あめか…分からないです…」
『え?』
銀時のふわふわ天パーの銀髪と綿菓子が並んでいる。
ブーッ!
高杉と桂が吹いて笑った。
「確かに、見間違えるのも無理ねェな!共食いしてるもんな!!」
「うるせー!」
高杉はさっきの仕返し、いや倍返しくらい馬鹿にして笑った。
松陽も笑っていた。
まさか雅がそんなことを言うとは。しかも天然気味で。
「ハァ。で、雅はどうするんだ?俺の頭みてえな食べ物は食いたくねえか?」
「……頂く」
雅の答えは意外だった。
愛想のない彼女なりに空気を読んだというか、食べたくないわけではなかったから。
銀時は雅に綿菓子を手渡した。
パクリッ
雅は綿菓子を一口食べた。
(ちぎって食べねーのか)
高杉はそんなことを考えながら、雅が食べた跡が残ってる綿菓子を見つめた。
「……ありがとう」
おいしいかマズいとか、特にそんなコメントは残さず礼だけを言った。
「んじゃ、あとはいただきまーす」
銀時が残りの綿菓子を食べようとしたら、
バクッ!
突然高杉が半分横取りした。
「ああー!何してんだてめー!!」
銀時は至福の時間を邪魔されたことで、いつもの険悪ムードへと突入してしまった。
「どーいうつもりだ高杉くん?甘いもん食べたら横に伸びてさらにチビが目立つからいつも控えていたと思ってたが?」
笑顔を浮かべているも、明らかに怒っていた。
「きゅ、急に食いたくなっただけだ」
高杉は慌てて食べたことで口周りに付いた砂糖のベトベトをふき取った。
そして何でらしくもなく、子供のように横取りしたのかというと、
(雅の食いかけた部分をコイツが食うのは、何か癪だった…)
雅の関節キスを、銀時にされるのが嫌だったからであった。