第13章 青い髪、赤い血
それから銀時と高杉は、さっきとは比べものにならないくらいの集中力と清い心で臨んだ。
銀時は、甘い綿菓子のために。
高杉は、お祭りが大好きだから。
(ふぅ。この方が効果覿面でしたね)
松陽と桂と雅は銀時の邪魔をしないよう、別の部屋へ。
「!」
高杉は雅と目があって、思わず逸らした。
・・・
(何思わず目ェ逸らしてんだ?!)
『今はアンタのこと嫌いじゃないよ』
初めてあの笑顔を見た時から、目ェ合わせるのがしんどい。
試合の時は、真剣にやるから何も意識せずに済む。だが、
(唯一アイツが俺のことを“名前”で呼んでも、何故か悪い気がしねェ…)
他の奴らに呼ばれたら、無性に腹立つのに…
(アイツは……雅は、いつも根暗で冷ややかなツラと雰囲気醸し出してる奴だ)
こっちにも移りそうなくらい、いつもつまんなそうにしている。
今さっきだって能面みてーなツラで全く笑いもしなかった。
俺は奴のそういうところを毛嫌いしていた、はずだった。
だけど、今は“嫌い”と思わなくなった。
むしろ…
『次にアイツの笑顔をいつ見れるんだろうな…』
そんなことばかり考えて、自分の机からアイツを目で追うようになっちまった…
「どーした?高杉くん?筆の手が止まってんぜ。もうバテたのかい?」
銀時の馬鹿声で現実世界へ引き戻された。
「雅のことでも考えてたのかよ?」
ドキッ!!
「ち、違ェよ!何でアイツが出てくんだよ!」
「だってお前。女に負けるなんて初めてだったじゃねーか。お前も雅に処○膜ぶち破られたんだってな」
話の次元があまりにも違いすぎて、高杉は習字の筆を落とした。
そして両者、席から立ち上がって喧嘩モードにはいった。
「破られてねーよ!そもそも処○膜ってのは女のことを指してて、断じて俺じゃ…!」
「え、何。逆にお前が破ったと。確かに雅を
・・・
初めて勝たせたと考えりゃーそうだが、流石に気が早すぎやしねーか?」
「何の話だ?!」
「本当に何の話ですか?先生も混ぜてください」
ズサァァー!
障子の隙間から、聞き覚えのある低い声と見覚えのある目がギョロっとこちらを見ていることに気付き、2人は慌てて持ち場に戻った。