第13章 青い髪、赤い血
晋助が彼女を本気にさせてくれた。
そして本気の雅を見た皆は、彼女の強さを知り、もっと彼女を知りたいと思ってくれた。
そして彼女もまた、周りに関心を寄せてきている。
ようやく彼女に、きっかけができた。
(私がたとえ口出ししても、仲良くなる本人はあの子たちです。私だけの力では限界がありました)
彼女もまた、他の子にはない才能を秘めています。
きっと彼女もまた、大物になるでしょうね。
ようやく周りと打ち解け始めた彼女なら…
「先生!」
桂が廊下を駆けてきた。
「本当は廊下を走ってはいけませんが、それくらい大変なことがあったのですか?」
「はい!銀時と高杉が!とにかく早く来てください!」
急いで教室に来たら、部屋の中が墨だらけ。
「てめーが筆使い荒いせいで、こっちにも飛び散ったじゃねェか!!やっぱボンボンはぶきっちょだな」
「それはてめェーだろ!ちゃんと裾捲ってやらないからだろ!」
高杉と銀時がワーワー喧嘩していた。
白い障子は黒の斑点模様の柄に変わってしまい、畳も無残な真っ黒に。
「おかげで髪の毛に付いちまったじゃねーか!目立つよォこれ!どーすんだよ?!」
「元々存在が目立ってるから、今更どうってことねーよ!それにてめーが目立つ色してるからいけねェんだろ。銀髪なんて。白い髪を白い紙に間違えるわ」
「生まれつきのもんは仕方ねーだろ!髪の毛の色もパーマもなァー、大体染めたり縮毛矯正で万事解決すんだよ!それに比べたらチビのてめーなんか手の施しようがねェ!残念だったな重傷者め」
「お前の腹黒さも重傷だと思うぜ。やっぱ墨付けたところで目立つのは変わらねーよ」
「はいそこまで」
ゴンッ!!
松陽のゲンコツによって、2人は粛清された。
「心を静かに清らかに臨むはずのお習字が、どうやったらこんなパーティーになるのですか?」
離れの方には、早めに習字を終わらせた雅が静かに読書をしていた。
「雅。君には2人の監視を任せたはずなのですが…」
彼女はようやく、本の活字世界から周りの悲惨な世界を目にした。
「あ…すいません。本が面白くて…つい…」
棒読みかつつまんなそうな顔で言った。
(やれやれ。思ったよりまだ周りに関心がありませんか…)
やっぱり君たちは、大物になりますね。