第4章 疲れたときほど甘いものはウマい
雅は鋭い勘と隣からのただならぬ圧を感じ、横をチラと見た。
(やはり…)
高杉がご立腹の様子だ。今にも堪忍袋の緒が切れそう。
(むしろ平均じゃなかった?)
彼女は数多くのカルテの中で、高杉のを思い出した。
確か170cm…いや待て
(だったら、それより下の私はどうなる?)
少しイラッときた。
それ以上に、当人の高杉はオコだった。
「誰の兵隊がレゴブロックだ。それに俺はとっくに勘当を食らった身……」
「え?別に一言も君の事だなんて言ってないけど。高杉くんって自分ちお金持ちだと思ってたんだ。自分でボンボンとか言っちゃうんだ」
銀時がいつも以上に高杉を煽った結果、
ガッガッ
蹴られ始めた。
(またか…)
「向こうに見られているから止めた方がいいよ」
彼女がご親切に忠告しても、2人は耳を貸さなかった。
「やめんか2人とも」
ヅラがいつものように仲裁に入った。
これで一安し…
「俺はボンボンじゃない。コロコロ派だ!!」
「だからてめーは黙ってろやァァァ!!」
かと思いきや、全く別のベクトルへ…
何のフォローにもなってない。フォローの“フ”の字にもなってない
しかもアンタの好みなんて知りたくない
雅はため息をつき、軍船の方の男に視線を移すと何かに気付いた。
(あの様子…!)
妙に顔色が悪い
微かに震えている…あれは、恐らく
「何笑ってんだ。あの野郎」
「てめっ高杉くんナメてんじゃねーぞ!!」
2人は全く気付いてないが、人の顔色を見慣れてる彼女にはすぐに分かった。
男が小舟で目の前まで来た。
「オイテメェ、何ヘラヘラしてんだ。高杉くんのどこがおかしいんだ?低いのに高杉な所か?」
「ナメてんのはてめーだろ」
近くで見て、彼女の疑問が確信に変わった。
(どうするか?)
2人に言った方が…
でも、さっきを無視されたからな
仕返しで黙ってることにした。
「オイ何ガン無視くれてんだ。マジあんまナメてっと攘夷しちゃうよ。外夷排しちゃうよ。笑ってんじゃねーって言ってんだ!!
高杉くんコレやっちゃう?天誅いっとく?」
(もう向こうに行ってよう…)
彼女は見ていられなく、その場から退場した
それから間もなく、2人の叫び声と大きな音が聞こえた。
『天誅ぅぅぅぅぅ!!!』 ドゴォォォ