第11章 二度あることは三度ある。いや四度あるかもしれんから気ィ付けろ
「雅か…アイツはこの場の皆の希望。たとえるなら、ポケモンの
・・・・
ジョーイさんのような安心感を持っている。幾町をさまよいようやく着いたポケモンセンター。入った途端に流れるBGMで、体が安心感で包み込まれる。
・・
攘夷なだけに」
「お前わざとだろ?」
もう予想以上に元気なことを確認したから、これ以上いる必要はねェな。
「高杉。アイツと何かあったのか?」
「!」
桂は何か案じた。
高杉がいつもと何か様子が違うことに、違和感を覚えていた。
落ち着かないというか、何か後ろめたさを感じているように見えたのだ。
「……アイツがあまりにも無防備だから、ちと忠告したんだ。少し…やり過ぎちまったが」
今更になって、もっと違う方法があったのではないかと思い始めた。
相手に恐怖を自覚してもらうには、その恐怖を一度実感してもらうのが一番効果的な方法だと思い、あんなことをした。
しかし結局、アイツに教えるどころか、こっちの理性が飛びそうになった。
桂は高杉とは違って、フッと笑みをこぼした。
「昔は犬猿の仲だったのに、今ではお前がそこまで気にかけるとは。人生何が起こるか分からないな」
犬猿の仲と言えば、銀時と高杉が代名詞だ。
しかし雅と高杉もまた、昔はそんなに仲良くはなかった。
滅多に喋らず滅多に笑いもしない彼女を、高杉は不気味がっていたような感じでもあった。
(昔は人間味がほんとになかったからな。皮肉なことだが、この戦で皆と手を取り合うことで、アイツは“鬼”から“人”に近付いた気がする)
最初は俺は戦に出ることを反対していたが、もし雅を置いていったらアイツはどうなっていたことやら。
・・・
あの時のことを、今でも忘れられない。
皆で夏祭りに行った夜のことだ。
あの出来事以来、俺は雅は何か重大なことを隠しているという実感を持った。
現に俺だけでなく高杉や銀時も、この戦が始まるまで知らなかった。
雅が医者であることを。
「高杉。俺はアイツの出生やどうやって医術を心得たのかは知らない。だがはっきり言えるのは、奴の医術は幕府軍にとって、利用する価値があるということだ」