第11章 二度あることは三度ある。いや四度あるかもしれんから気ィ付けろ
この人。ひょっとして勘違いしてないか?
「何か誤解しているようだから言う。高杉と私は同門だ。銀時や桂と同じ、昔話をする仲なだけだ」
「それは、自分の部屋に招き入れなければ、できないことなんですか?」
この男はずっと見てきたのだ。知っていたのだ。
高杉が夜になると彼女の部屋へよく訪問するようになったことを。
その後ろ姿を見る度に、握り締めた着物の袖のしわが酷くなっていった。
「幼なじみはいいな」と、周りの皆も羨ましがるのを耳にすると、胸が痛くなった。
「そこまで見ているんだったら、知っているはずだ。アイツは足の治療のために来ていた。それにこれは医師である私の判断だった。アイツは関係ない」
「関係大ありですよ」
男は雅の腕を強く握った。
「男を自分の部屋に入れるってのは、そういうことでしょ?」
恋人であるかのように、雅の頬を撫でた。
つまりこの男が言いたいのは、男女の関係ということだ。
「つまりアンタ、私が高杉に色目を使ってると?」
「まあ、別になんと思われようと構わないが」と雅は思った。
実際今日はまさにそうだったから、私には反省すべき点がある。間違ってはいない。
たとえ部屋で襲われようとも、彼女は冷静さを崩さない。
しかし、次に男の口から放たれた言葉が、雅の怒りを買ってしまう。
「違います。雅さんに色目を使うなと、皆に今まで注意してきた高杉さん本人が、まさかそんなことしてたなんて……」
ダァンッ!
雅は強い力で起き上がって、男の着物の襟を左腕で掴んで壁に押しつけた。
「!!」
いきなり抵抗された男も、彼女の変わりようにビビった。
「雅…さん…?」
「私は医者だ。患者に手をあげるなんてことはしたくなかったが…」
さっきより雰囲気がさらに冷たくなっていた。
「私をどう罵ろうがアンタの勝手だ。だけど、アイツをそんな風に侮辱するなら、私も黙っちゃいない」
下らない先入観で物事を決めつけたら、足をすくわれるぞ。
「二度とそんな口利くな。アイツはこの場において、私が最も信頼し尊敬もしている仲間でもある。次言ったら…」
ドクンッ!!
(!)
心臓が大きく響いた。