第11章 二度あることは三度ある。いや四度あるかもしれんから気ィ付けろ
「…うん。それも正しいと思うよ」
隊士は笑顔になった。
「俺は国のため、そしてこの国で生きる友のために戦います」
これで話は終わりのようにみえた。
だが、終わりではなかった。
「実は、雅さんにもう1つ、お話ししたいことがあります」
「何」
男はソワソワして、視線がおぼつかないようになった。
雅は“それ”に見覚えあった。
「俺は……雅さんのことが好きです」
「……」
雅は驚くこともなく、動揺することもなく、嬉しがることもなく、自分から話すこともなく、自分の頭をかいた。興味も全くがないように。
男はそんな雅の無関心な姿を前にしても、話を続けた。
望みがないと分かっていながらも、自分の思いを口にした。
「アナタはとても素敵な女性です。もしアナタが戦にいなく、ただ町中で暮らしている娘だったとしても、きっと俺はアナタに一目惚れしていたでしょう」
ここまで言っても、彼女は頬を赤くすることもせず、しばらく間が空いてからようやくたった一言だけを口にした。
「言いたいことは済んだ?」
男は雅の上に無理やり跨がった。彼女の体調不良など気にもせず。
「ッ!」
床に抑えつけられたら衝撃が腰あたりに響き、毒による体の痛みが増した。
「俺を…男として見れないんですか?こんなにもアナタを誰よりも尊敬し誰よりも愛しているのに」
雅は抵抗することもなく、ため息をついた。
「アンタは性別上では男だ。見れば分かる。だが、もしそれが愛慕の意味合いであれば、答えは否だ」
男が強く上から抑えつけているせいで、体を起こすことができない。
「これから診察がある。そこをどけ」
「俺は……俺はずっと我慢してました。この気持ちを殺して…ずっと戦ってきました」
男はぽつりぽつりと、自分の心境について話し始めた。
「初めて見たときから気になっていました。いつも手当してくれるアナタの力に少しでもなりたいと思ってました。尊敬から好意になるまでは、そう時間はかかりませんでした」
大声がだんだんとか細く涙声までになった。
「アナタが俺に振り向くわけがない。分かってるんです。でも…アナタと高杉さんが一緒にいるところを見ると……」
晋助?