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君想ふ夜桜《銀魂》

第4章 疲れたときほど甘いものはウマい



「どうしたんだその髪?」
「さっき切った」

刀で斬るほどの速さで、ズバッと言葉を放った。

背中に余裕でかかっていた長髪は、あごラインのボブくらいにバッサリ切られていた。

「まさか…どっかの城のラピ○タのヒロインみてーに、自分の髪をバルスしちゃったか?」

やっちまったなーと銀時は残念がる。

「髪をバルスするってどういう状況だよ?」

この中で比較的まともな高杉がそれにツッコむ。

「それは違うぞ銀時。バルスしたのはシ○タじゃないム○カの髪だ」

頭のネジが人一倍ズレている桂はドヤ顔で指摘する。

「何の話してんだ?そもそも髪じゃねーだろ」

休む暇もなく、次々にツッコむ。

雅はそんな茶番劇に全く怯まず、自分の髪の毛を摘まんだ。

「この方がこの場に相応しい。何より…」

桂に視線を向けた。

「黒髪ロングだとヅラとキャラが被る」

((そこォォォ!?))

流石に高杉だけでなく、周りの皆が一斉にツッコんだ。

無表情の彼女の考えなんぞ知りもしなかったが…

((そんなこと気にしながら、この数年間過ごしてたのかこのヒロインは!))

銀時は桂に対し刀を構えた。

「つまりヅラァ、てめーが脳みそごと切り落とせば済む話だったな」

「ま、待たんか。知らなかったんだ。雅もキャラ被りを気にしてたとは」

「てめーも気にしてたのかよ。しかも全然被ってねーよ」

これも結局、高杉がツッコミ役に回る。

この短時間でここまでツッコむなんて、案外彼も苦労人である。


銀時は雅の顔をのぞき込んだ。

「いいのか?「長い方が良かった」ってギャーギャー言うんじゃねーかァ?」

そう言われた途端、彼女は少し名残惜しそうな顔をした。

(アイツ…)

高杉はすぐに分かった。

彼女が本当は長い方が好きなんだ。

やはりアイツも女だ。

雅はまたいつものような無表情になり、銀時を見上げた。

「ただの願掛けだ。似合わないのであればそう言って」

どうやら普段デリカシーの欠片もない銀時は、彼女の癪に障ってしまったようだ。

目の前で怖い顔をされ、少し慌てて付け加えた。

「まーまー髪なんてソイツの勝手だろ。短けー方も案外似合うんじゃねーか」

彼女の頭に大きな手を置いて、珍しくお世辞を言った。

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