第11章 二度あることは三度ある。いや四度あるかもしれんから気ィ付けろ
(何にせよ、あとでまたアイツの様子を見に行くとするか)
陣羽織を脱いで刀を鞘ごと抜こうとしたら、腰に自分の物じゃない刃物が差してあった。
「ん?」
見てみるとそれは、雅の小刀だった。
(これは、あの時…)
敵の腕にぶっ刺さってたのを抜いて、そのまま腰に差したんだっけか?
俺は小刀を手にとって抜いてみた。
刃はのたれ模様、鞘と柄は木製、かなり使いこなされている。
(アイツが使う前に、
・・・・・
別の誰かが使ってたってワケかい……)
今回の戦いで、雅の真剣は折れちまったが…
?
柄の部分に、妙な文字が刻まれていた。目を細めて読んでみた。
(愁…青?前の持ち主の名前か?)
本人に聞けばわかるか。
着替えはあとにして小刀を返しに雅の部屋に向かうことにした。
陣羽織を脱いでノースリーブのため、少し肌寒い気がした。
(やっぱり着るか。いや、昨日貸しっぱなしの羽織が向こうにあるはずだ。それでいいか)
そういやアイツの陣羽織……前の“例の写真”は入ってなかったな。
「ゲホッ!ゴホッ!ッ!」
!
部屋から雅が咳き込む声が聞こえた。
実際見なくても分かるくらい、さっきよりも苦しそうな咳だ。
バタンッ!
「雅ッ!」
ノックするのも忘れて、急いで部屋の襖を開けた。
しかし、そこの光景は予想とは違った。
苦しそうにうつ伏せで咳込んでいた雅ともう1人、別の隊士が部屋にいたのだ。
彼女の様子を見に来たのかと思ったが、決定的なのがあった。
雅の上に跨がっていたのだ。
ケガ人にそんなことするなんて常識では有り得ない。
じゃ何のためにそんな体勢なのか?
考えられたのは1つ。
弱っている彼女を無理矢理……
「てめェ…今何しようとした?」
雅を心配するよりも先に、その志士に問いつめた。
「ち、違うんですよ!高杉さん。これは…」
隊士は明らかに動揺して、雅の上から降りた。