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君想ふ夜桜《銀魂》

第4章 疲れたときほど甘いものはウマい



やられたらやり返す倍返しみたいに言われ、雅は体育座りした。

「…別に、ただの気まぐれ」

他愛もない話をする二人。
そういえば、お菓子まだ手付かずだ。

包みを開けて中を見たら、それはういろうだ。

「ういろうか」

甘味を食べるイメージがない高杉は箱の中を覗いた。

「食べれるの?」

「苦手ってワケじゃねェよ。いいのか貰って?てめーのだろ」

雅は軽く頷いた。

「詫びというか…全部食べきれない」

詫び?別に何もしてねェだろ?
泣いたことそんなに気にしてんのか?

2人は一つずつとって食べてみると、甘過ぎずなかなかだ。

「黒子野。いい菓子選抜したな」
「…おいしい」

食糧不足にもなるこの戦、甘いものなんて久しぶりだ

今度、黒子野に礼言おう

ういろうとヤクルコは少しシュールだが…


高杉は雅をチラと見ると、泣いてる面影はもうなく、少しだけ安堵した。

ヤクルコを持ち、空を見上げた。

(聞いてみるか…)
「何かあったのか?」

雅は下に俯いた。

「…実は…





花粉症って嘘だから」

ズッコケ!

(そんなんとっくに知ってらァ…!)

期待外れの返答に、高杉はガクッと肩を下ろした。

逆にあんな見え見えの嘘に気付かない方がおかしいだろ

「あそこにアンタが来るとは思わなかった。あの時と同じように…」

「!」

落とした肩をビクッと跳ね上がらせ、脳裏にあの時を思い出した。

今朝見たあの夢と同じ…




回想
〈松下村塾の外〉

(こんなとこで何してんだ?)

高杉は木の陰から離れて、月明かりを頼りに雅の様子を遠くから見た。

雅はその視線にようやく気づき、反射的に高杉の方に振り向いた。

(な…!)

ソイツは…



涙を流していた。

(なッ!泣いて…!?)

いつも冷淡なあの?

高杉は驚きのあまり、後ずさりした。

「何だ…高杉か」

雅は平然と自分の涙を拭った。

「あ…いや…」

「目にゴミが入った。顔でも洗う」

何事もなかったかのよう、高杉の横を通り過ぎその場を去った。


(……)

残された高杉は立ち尽くしていた。

頭から離れなかった。彼女の悲しそうなツラを

(何があったかは知らねェ。だが…)




“もう、あんな面見んのはごめんだ…”


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