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君想ふ夜桜《銀魂》

第11章 二度あることは三度ある。いや四度あるかもしれんから気ィ付けろ



ホッ

高杉は安堵の息をついた。

(敵を欺くときはまずは味方を欺くなんても言うが)

アイツは騙し討ちみてーなことはしないと思ってたが。今回の敵がそれほど困難ってことか。

だが、先生を奪った烏が何故こんな場所に…?


ドシュッ!

「ッ!」

戦いの中、高杉は左腕に深手を負ってしまった。

戦での疲労が重なって、動きにボロが出たのだ。

敵もそれが分かっていて、あえて相手の体力を削るような戦い方をしていた。


「し、晋す…!」

この一瞬、私は敵から目を背けてしまった。

医者の本能で、怪我した人の方を心配してしまった。

殺し方を熟知している敵から目を背けたことは、本当にマズかった。

敵は私を斬り殺すのではなく、懐を長ものの先で強く押した。

押した先には崖があり、視界には空が映った。

(あ…)

迂闊だった……


ガシッ

「!」

落ちたと思いきや、高杉が私の腕を掴んで止めた。しかも、深手を負った左腕の方で。

「あ、アンタ…!?」

血が傷口から滴り出て、私の腕に伝ってきた。

「離さないと傷口が開……!」

「離さねェ。こんな状況でも医者だなお前は」

より一層私の腕を強く握り締めた。

唇を強く噛んでいるから、痛いのを必死に堪えて私を支えているんだ。

医者である私が、助けるどころか相手の傷つけるようなマネを……言語道断だ


そうこうしているうちに、残り数人の敵の足音が聞こえてきた。一斉にやってくる。

「私は落ちても大丈夫だ。後ろから…!」

「うるせェッ…知ってらァ!すぐ引き上げる」

晋助は決して手を離さなかった。


また、失うのか

また、後悔するのか

アイツらから、また奪われるのか

吉田松陽とかつての自分の師の遠ざかる背中が、晋助と重なった。

何で、こんなときも頑固なんだ……

高杉の腕から流れ出る血で、私の青い陣羽織の袖は赤く染まっていった。

「頼む晋助…離してくれ……」

こんなときくらい、頑固でいないでくれよ……

敵の刃が高杉の背中に向けられた。

「ッ!高杉ィィッ!!!」

高杉は私を引き上げるどころか、すべての力を振り絞って私を上へ投げた。

私は空中から、高杉の後ろの敵を攻め落とした。

これで敵を何とか全て倒した。

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