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君想ふ夜桜《銀魂》

第11章 二度あることは三度ある。いや四度あるかもしれんから気ィ付けろ



早急に作った方がいい。

「すまん。薬用植物を調達しに山へ行く。行き慣れているから30分で戻る」

仲間の1人に伝えておいた。

今ピークが終わったばかりだから、行くとしたら今しかない。

念のため刀を持って陣羽織を着て行くことにした。



山にて、

暑い太陽の日差しが照らしつける中、私は山道を独りで登った。

ここには医療薬の材料となるものが多く生えている。ちょっとした宝庫だ。

ただでさえ軍勢の数では圧倒的に不利な自分たちの拠点の近くに、こんな山があるのは不幸中の幸い。

周りは木が生い茂って、小鳥が心地よく鳴いている。

血みどろの戦場とはかけ離れた空間。

緩やかな川の流れを見ていると、戦場の緊張感も解れていくようだ。

この場所へ来て散策するのが、少しばかりの楽しみでもある。

(だけど辰馬みたいに浮かれちゃ決してダメだ。目的忘れて戻って、「あ、ごめん。メルヘンチックな気分に浸って楽しんできた」なんて言い訳したくないし)

一応拠点では、皆を指揮する“将”だからな。

ヅラや晋助ほど指揮力はないが。


行く宛は決まっており、そこがこの山の中で最も生い茂っている場所でもある。

何より、麻酔薬にかかせない“チョウセンアサガオ”の花がある。

チョウセンアサガオ。別名“ダツラ”とも言う。

麻酔を得意とする彼女にとって、今まで一番使ってきた薬用植物だ。

素人が見ればただの危ない植物で踏み潰すだろうが、手術するのに必要不可欠なのだ。

ただし扱いを間違えれば、意識障害や幻覚などあらゆる症状に陥る危険な代物だ。

(“痛み”というのは、体に異常があるという危険信号で、非常に重要な機能だ。その正常なシステムを麻酔で一時的に停止させるから、麻酔薬もある意味“毒”だ)

全て“あの人”から教わったことだ…


「!」

調達の途中、向こうの地面に足跡があることに気が付いた。

自分は2週間くらい前に同じ場所を通った。ここらへんを散策するのは私くらいなものだ。

だがおかしい。ここらへんの土質じゃ、足跡は残りにくい。


「…そういうことか」

納得してゆっくり立ち上がったと同時に、後ろの木の上から人影が落ちてきた。

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