第10章 約束ってのあ、守れなかったときが残酷だ
辰馬たちが上についた頃には、敵のほとんどが片付けられていた。
加勢に入って、敵はすべて倒した。
「さすがじゃのう雅!おまんを支えてよかったぜよ!」
「ああ」
この場を今度の戦で使えるよう、地形を頭にたたき込んだ。
これで我々の任務は終わった。
(ふう。何とか終わった。帰ったら作り途中の薬を完成させないとな)
相変わらず仕事バカな雅は、医者らしいことを考えながら皆と帰り道を歩いた。
(そういえば、山で採れる薬草がもうすぐできれる。明日は私は出陣しないから、その時に採りに行くか)
彼女は出陣しない日は、拠点で負傷者の治療をするが、余裕があれば山へ足を運ぶことがある。
近くの野山はかなり恵まれていて、色んな薬作りに応用できる。
彼女は普段は料理はしないが、薬膳料理はたまにする。
しかし甘党の銀時には、人一倍甘い味付けにじゃないと口に合わないので、そのたびに砂糖を少し多めに使う。
(だが糖尿病になったら困るから、次作るときはなしで食べてもら…)
ドォォンッ!!
『!!』
大きな地響きと爆風と目の前には大きな岩。
血が飛び散った。
「え…?」
仲間が岩の下敷きになり、周りにいた他の者はその際ケガを負った。
他の仲間がその名前を叫んだ。
辰馬は下敷きになった仲間を助けようと、自分より遙かに大きい岩を持ち上げようとした。
私は岩が飛んできた方向に目を凝らした。
「あれは…!」
微かだが天人の軍勢がこちらに向かってきている。
ここにいると、どうやって…
(まさか…!)
さっき仕留めた天人の手には、通信機のようなものが握られていた。
そこにはこう書かれてあった。
“死神。発見”
(私…!)
まさか敵は、軍医である私を確実に仕留めるために、あの軍勢を送ってきたのか!
「また来るぞォッ!!」
また大きな岩がこちらに向かって飛んできた。
私たちは逃げようとしたが、1人の仲間が脚を怪我して動けなかった。
(マズい…!)
引き返して仲間に肩を貸して何とか運んだ。
しかし大岩は私が運ぶよりも数段速く迫ってくる。
辰馬や他の人は別の仲間を運んでいて手を借りれない。