第10章 約束ってのあ、守れなかったときが残酷だ
この先を進めば、この断崖絶壁の上まで行くことができる。
そこを占拠すれば、敵を包囲する際今後の戦に有利になれる。
敵と対峙してるわけではないが、今回も結構キツくなりそうだ。
「!」
上からパラパラ石が落ちてきた。いやな予感がして見上げてみた。
(まさか…!)
天人たちがすでに絶壁の上でニヤリと笑みを浮かべてこっちを見下ろしていた。
銃口をこっちに向けて、引き金を引いた。
「伏せろォッ!おまんらッ!!」
辰馬の大声と同時に、弾が何発も我々に降りかかってきた。
天人と我々の間は平たくなくでこぼこだったから、その凹凸が盾代わりになった。
しかし、運悪く弾が当たり、体勢を崩して下に落ちた者もいた。
(まさか…天人がすでにこの上にいるとは…!)
想定外だった。
そしてタワーオブテラーにはこんな演出はない。
雅は自分の刀の柄の部分を口でくわえて、両手を使えるようにした。
「雅さん。まさか…この壁を登るんですか?!」
仲間の声に耳を貸さず、手を伸ばして岩壁の凹凸の部分を掴んだ。
しかし、そこに弾が当たって、凹凸は崩れて下に落ちてった。
(ッ!どうする…)
「雅待て」
辰馬が彼女が登るのを止めた。
(「危ないから止めろ」というのか?)
この状況を打破するには、一刻も早く上に登って敵を倒すしかない。
急いでこの細道を進んだって、敵が上にいる限り、奴らの手の平と言っても過言じゃない。
この戦にいる時点で、危険など百も承知だ。
「ワシを使え」
両手を足を掛けられる形にした。
「おまんはこの中で一番軽いから、誰よりも高く上に行けるじゃろう。上に行くにはおまんが一番適役じゃ」
しかし、もし私が思いっきり踏み込めば、辰馬の体勢は大きく崩れる。
下手したらこの崖から落ちるかもしれない。
辰馬はいつものような馬鹿笑いを浮かべた。
「ワシらはおまんの支えのおかげで、前へ進むことができたんじゃ。そして今日は、ワシらの支えでおまんが上に行くんじゃ」
「辰馬…」
「ワシのことは心配するな。何故なら、ワシにも支えてくれる仲間がいるからの!」
そばには仲間たちがいる。