第3章 賞味期限切れにはご注意
手にとって裏面を見ると、数字が列になって書かれている。
(今日かよ賞味期限…!)
ずっと戦地にいたからな
雅とはしばらく話してなかったから、渡す時間もなかった
だが時計を見ても、思ったほど夜遅くない
(…今、渡すか)
ただ、今日賞味期限の物渡しても、何て言われるか
高杉はため息をついて腰を上げ、雅の部屋に向かった。
※女の雅は特別に個室がある設定
広間から少し歩いたところに、雅の部屋はある。
高杉は雅の部屋の前に立った。
「おい。いるか?」
シーン
襖に向かって呼んだが、応答がなかった
(…開けるか)
ノックしたから、大丈夫なはずだ
スーッ
開けても、そこに誰もいない。
(いねェのか)
部屋をぱっと見ると、一言で言っちゃ殺風景
棚にはいろんな書物や医薬品や道具
机には難しそうな資料が広げられ、その他にも…
(イメージ通りだが…)
医術やそれに関するものの何かだろう
毎日、俺たち一人一人の傷を見ては治してるくらいだ
(別に黙って入るつもりはねェよ)
女の部屋に勝手に入るなんざ、どっかの銀髪のバカ侍のようにデリカシーがないわけじゃねェよ。俺は
※銀時は、バレンタインの回で神楽にとんでもないこと言ってシバかれました…
襖を閉めて、別の場所を探した。
〈とある場所〉
「フィックションッ!!」
銀時がくしゃみをした。
「どうした銀時?風邪か?」
「いや、誰かが噂をしてたような…」
雅はなかなか見当たらず、高杉は渡り廊下を歩いてた。
(アイツ早寝型のはずだ。部屋にいなかったのもおかしい…)
ふと外の方をチラと見たら、雅の後ろ姿があった
(見つけた…!)
背を向けたまま、動かずずっと立っていた
(あんな所で何してんだ?)
高杉は渡り廊下から降りて、後ろから近付いた。
「おい」
ビクッ
「いったい何し…」
いきなり呼ばれた雅は、驚いて振り返った。
高杉は雅の顔を見た途端、
ピタッと足を止め、目を見開き声が出なくなった。
瞳から頬にかけて、涙が伝っている
雅は独り、泣いていた