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君想ふ夜桜《銀魂》

第10章 約束ってのあ、守れなかったときが残酷だ



「それじゃあ、おまんはどうなんじゃ?戦の後のことは、考えてるのか?」

「……まあ」

「でも、ワシが商人なら、おまんはやはり医者なのは当然かのう?」

恋バナではないが、将来自慢大会みたいなことが始まり出した。

「あ。もしかして、高杉にはすでに話したのか?」

「いや、そんな詳しくは…ていうか、何で晋助?」

「そりゃそうじゃろ。おまんらは幼なじみじゃ。赤い糸で結ばれようが腐れ縁じゃろうが、この先も付き合いしていくのが普通であり、“友”というもんじゃろ?」

そんなの当たり前だろうと、辰馬は首を傾げた。

辰馬は商人。人と人との絆や信頼を何よりも大切にする。

「あいにく、普通じゃないんでね、私は」

雅は夜空を見上げて、煙管の煙をあげた。


「私はこの戦が終わったら、遠い場所へ行く。アイツらとは、全くの別の道を行く」

この告白は以後になっても、辰馬しか聞かされない事実となる。

さっきまで余裕ぶっこいてマイペースだった辰馬は、雅の話に真剣に傾けるようになった。

他の仲間は向こうで輪になっていて、そばで聞く者はいない。

「何で私がこんなことをアンタに話すか?アンタが宇宙に行くなら、少しは協力してくれるかと思ったからだ」

辰馬の商人としての顔の広さなら、宇宙の果てでも行き交うことができると考えたから。

(ワシは以前、頼れと言ったが、まさかこんな形とはのう……)

「このことはアンタしか知らない。他の奴には絶対言うな。無論、晋助たちにもだ」

「じゃもしや、おまんはワシと宇宙に行きたいのか?」

変な期待をし出した。

「一緒じゃない。独りで行く。アンタにはあくまで仕事を頼むだけだ」

雅は日頃の辰馬のような冗談を言って仕返ししているわけじゃなく、本気だった。

それも、松下村塾で幼少期を共に過ごした仲間にも隠すくらいのもの。

相談というのは、親友にこそすべきものなのに。


「じゃあ、おまん、自ら孤独になるのか?」

「!」

孤独。懐かしい響きのような気がした。

今はこの通り、自分の身を案じてくれる仲間がいる。

こんな戦の中でも、絶えることがない繋がりがある。

昔のように、ただ1人で雨風をしのぐ日々も、もうない。

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