第3章 賞味期限切れにはご注意
腹痛は段々と収まってきて、銀時は戦場に向け歩き出した。
雅は、仲間である彼にも一言残した。
「アンタが死ぬなんて、シャレにならないから…おっ死んだりしないでよ」
銀時は背を向けたままふざけて手を振った。
「死にァしねーよ。俺たちは」
そして本心なのかふざけてなのか、最後に一言残した。
「帰りを待ってくれる奴がいる限り、死なねーんだ俺は」
お互い振り返ず、2人の主人公は自分の戦場にそれぞれ向かった。
(…相変わらずだ)
一方、高杉たちは戦場へ向かってる途中だった。
「置いていったが金時遅いぜよ」
辰馬は後ろ歩きしてたら、地面に生えてる木の根っこに足を引っ掛かり転んだ。
「どうせ厠だ。その内合流する」
桂は気にも留めず、スタスタ前に進んだ。
そして、ずっと黙って隣で歩いている高杉に声をかけた。
「アイツ、変わったな」
「何がだ?」
「昔は独りで周りに目も暮れなかった奴が、今では仲間を思いこの戦にいることだ」
桂は、そのことを嬉しそうに語った。
(…確かに、昔の時に比べたらな)
高杉もそこんとこは同感した。
「だがその孤高な性格は、アイツが医者なのと関係があるんだろう。
俺は医術に関して素人だが、恐らくアイツの右に出る者はいない」
それは、高杉も分かっていた。
分かっていたので、特に何も言わず話を聞いていた。
「ともかく、俺たちには、“どんな傷も治せる頼れる仲間”がいるということだ」
「…ああ」
アイツは頼れる、俺たちに必要不可欠な存在だ
ヅラが戦場に出したくないのは分かるが…
「ったく。人を置いてきやがって」
そこに、ようやく銀時が到着した。
「遅いぞ金時!ウンコが手強かったのか?」
デカい声でそんなことを言う坂本も品がない。
「うるせーな。昨日のヤクルコよく見たら、賞味期限切れだったんだよ。乳酸菌がさらに乳酸菌になって、腹に効き過ぎた。ずっと冷蔵庫に入れてた高杉が悪い」
「おい人のせいにしてんじゃねェ。しかも俺が昨日楽しみにとってたのを勝手に飲んだんじゃねーか。自業自得だろ」
そう、前の喧嘩の原因
銀時が高杉のヤクルコを勝手に飲んだことによるものだった…
「むしろ感謝してほしいな。俺が犠牲になったことでてめーは腹壊さずにいたからな」