第9章 親に見つかりたくねーもんがあるなら部屋は幾度か掃除しとけ
2人はしばらく、金縛りにあったように全く動けなかった。
部屋の中は見えないが、微かな手術用具の音だけは聞こえた。
この中で、桂は雅に腹やまた別の部位を切開されているんだ。
高杉は自分の手の平を見つめた。
「高…杉?」
銀時の声は震えて、ゆっくり高杉の方を見た。
「ヅラの腕が…以上に…冷たかった」
まるで、さっきまで氷に浸かってたような、異常な冷たさだった。
しかし、床に広がっていた血は生暖かかった。
手で感じ取ったそのギャップを思い出し、高杉はさらに冷や汗をかいた。
「!。おい高杉。あの黒いノートは?」
「は?」
こんな時に何でノートなんか…
さっきノートを置いた場所を見たが、そこにノートがなかった。
「ない…だと」
床を覗いても、やっぱり落ちてない。
おかしい。さっきまでここに…
さっきのどたんばで、誰か持ってったのか?
「おい…さっき…見ちまったんだけどよぉ…」
銀時はさっきと尋常じゃないくらい体を震わせていた。
血まみれの桂を見たときと明らかに違う。
「何を見たんだ?」
銀時はゆっくり口を開いた。
「アイツが部屋入るとき…何か持ってたんだ。黒い何か…多分あのノートだったと思うんだよ」
アイツが?
それの何がおかしいんだ?
雅があのノートを見つけて拾ったってことは、やっぱりアイツの物だったってことじゃねェのか?
しかし、銀時が言いたいことはそこではなかった。
「俺…表紙にうっすら書いてあったノートの題名…さっきから考えてたんだがよ…ひょっとして…」
「アアアアアアアアアッ!!!」
「「!!」」
男の悲鳴が別のところから聞こえてきた。
さっきまでは動けなかったが、2人は一秒でも速く、声がする場所に向かった。
ガタンッ!
「おい!いったい何があ…!」
襖を思いっきり開けた途端、目にしたのは…
「あぁ…ぁぁ…」
パクヤサが白目を向いて、口をパクパクさせていた。
「総督!今、医療班でなんとか措置をしているのですが…!」
部下が状況を説明する中、高杉は頭の中でノートに関する情報全てを無意識に整理した。
黒い…
名前しか書かれてない……
名前が書かれてる奴が次々に瀕死になる…
DEA……NOTE……
「DEATH NOTE?」