第9章 親に見つかりたくねーもんがあるなら部屋は幾度か掃除しとけ
確かにアイツならてめー独りでも身を守れる
力も度胸もある
だが以前 銀時も言ってたが、ああいう奴は死に急ぐ性格だ
攘夷志士である以前に、俺たちは松下村塾の人間
全部終わってあの人と再会する時は…その時ァ、全員揃えればな…
普段、銀時や桂にはあまりいい印象を持たず素直じゃない高杉ではあるが、松陽先生絡みだと少しだけ丸くなる。
(それより、たかが掃除や雑談に何ページ費やしてんだと、そろそろ読者もシラを切る頃か。仕方ねェ、行くか…)
高杉は部屋を出て、また廊下を歩き始めた。
俺も言われるまでもねーが、この戦で死ぬつもりはねェよ
それについてァ、アイツと同意見だ
それに俺ァ、アイツには…
「おお、ようやく終わったか高杉」
高杉は数時間ぶりに桂と合流した。
「全く。掃除だけで一体何ページかけていると思っているんだ?攘夷戦争きっての戦闘シーンや仲間との熱い友情を描いた作品だというのに。これでは読者は嫌気がさし、しおりを外してしまうぞ」
ここにも普通にメタい発言をする者がいた。
(俺に言うな。そういうクレームは考えた作者の方に言え)
高杉は攘夷時代はツッコミポジションではあるが、本人はあまり自覚はない。
一方桂は十中八九ボケの方にまわり、あの辰馬にもツッコまれるほどの大物。
戦でもギャグセンスでも、この作品には欠かせない人物…だと思う。
(昨日雅に言ったばかりだが、本当にまともな奴がいねェな。この場所は…)
俺も、その1人ってか
「それよりもうすぐで昼だ。あとで…台所に来い…」
(?)
高杉は桂の様子がおかしいことに気が付いた。
あまり顔色が優れない
朝もあまりよくなかったのがさらに…
「ヅラ?お前顔色が悪いぞ」
「ヅラじゃない桂だ。それはさっき銀時にも「ツラが悪い」と言われた」
(その後ぜってェ「ツラじゃない桂」と言っただろうな)
頭痛がするのか手で頭に触れて、腰を曲げて体勢も低くしている。
「本当に大丈夫か?あとで雅に…」
「だ、大丈夫だ。昨日の酒のせいだ。そんな大事ではない。アイツに頼まずともそのうち治る」
頭を抱えたまま、桂もまたどこかに行ってしまった。
・・・・・
この後、まさかあのようなことになるとは…