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君想ふ夜桜《銀魂》

第9章 親に見つかりたくねーもんがあるなら部屋は幾度か掃除しとけ



そのまま背中は後ろに倒れて、体ごと床に向かって落ちた。

ガッ!

しかし、間一髪のところで高杉が受け止めた。

「!」

「あ…危ねェじゃねーか」

あとほんの少し遅れていたら、頭を地面にうっていたかもしれない。念のために室内に入って本当によかった。

「ビックリした…いつの間に背後に」

「そこかよ。ヒヤヒヤされた俺の身にもなれ」

彼女にケガはないことを確認して、高杉はホッとした。

「すまなかった。取りあえず…下ろしてくれたらありがたいんだけど」

高杉は今、雅をお姫様だっこしている状態。

銀時や坂本に見られれば勘違いされるシチュエーション。

それにようやく気が付き慌てて下におろした。


「かなり古かったんだな。その脚立」

見ただけでも色はかなり黒ずんでいる。

今回の大掃除は整理整頓が目的であるから、欠陥品が見つかったのはある意味収穫ともいえるかもしれない。

「恐らくずっと使われてなかったから、気付かなかったんだろうね。ケガ人が出なくてよかった」

まさしく今さっきケガしそうになった人の言うセリフなのか?

雅は壊れた木製の脚立をまとめて縛った。

「今度新しいのを調達しにいくか」

「うん。しかし私が乗ったのが原因で壊れたのは、少し驚いた」

雅は2つのことを気にしていた。

1つは、脚立を使うのはこの中で自分くらいしかいないこと。

もう1つは、老朽化とはいえ自分の体重によって壊れたのはつまり…

中性的な彼女でも、一応女の子であるから時にはそういうことも気にするのかもしれない…

(何か元気がなさそうだな。まさか俺さっき…変なところ触ってねェよな?)

銀時とは違ってデリカシーはあるという自覚はある彼はそんなことを気にしていた。


雅は棚の上に置いてある古びた箱を見上げてため息をついた。

(もう少しで届きそうだったが…)

ヒョイ

高杉は雅の後ろで背伸びをしてそれを取った。

「ほらよ」

「あ、ありがとう…」

雅はそれを受け取って開けた。

そこにはたくさんの資料のような紙束。
紙には人名が列になってぎっしり書かれてある。

「何だこれは?」

何かのリストみたいだが、こんなもんあったか?

「第一次攘夷戦争で戦没した人たちの名前だよ」

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