第9章 親に見つかりたくねーもんがあるなら部屋は幾度か掃除しとけ
「まったく、高杉と似て連れないのアイツも」
銀時や高杉からのヒドい扱いに慣れてる坂本は、やれやれと苦笑いする。
※志士たちの攘夷志士最強は誰かの雑談でも、金へのがめつさと声のデカさと認識されている…
しかし高杉は雅の様子で何か違和感を感じてた。
彼女が愛想がないのは普通だが、今の口調や表情はいつもより
怒ってるように見えた。
部屋に手をかけたのが、それほど腹立たしかったか。
(いやアイツは些細なことで目くじらを立てるような奴じゃねェが)
それか何か別の要因があってその積み重ねで…
「辰馬。お前がアイツにゴキブリ扱いされるくらいの何かをしでかしたんじゃねーのか?」
考えられるとしたら、
昨夜酔っ払って雅にしつこく絡んだか、
今までの嫌がらせが溜まりに溜まって、とうとうゴキブリ並のうっとうしさまで…
「わしゃそんなことしないッ!おなごの心を傷つけるなどわしのポリシーに反する。商いでも最も必要なのは“会話術”とそれによって培われる“信頼”じゃき」
はいはいそうですかと高杉は軽く流し、また仕事に取りかかった。
しばらくすると桂が様子を見にきた。
坂本と高杉が普通にしているか確認しにきたというところか。
見ての通り普通でいた。
「廊下はもう終わったか。思ったより早いな」
桂に続いて今度は、回想ぶりである銀時が来た。
「うぉ、銀時!ようやく来たか!もう午前10時半すぎじゃと言うのに何しとったんじゃ?」
また寝坊なのは皆分かりきっていたが、坂本は笑いながら聞いた。
「うるせェな。掃除なんて昨日言ってなかったし、知らなかったからいいじゃねーか。久しぶりの休日だから外で散歩してたのによ」
(!)
銀時が外にいた?
高杉はさっきの茂みの中から感じた人の気配のことで、また息をのんだ。
まさかあれは…
「おい。銀と…」
「だが銀時。貴様が寝坊したという事実は変わらん。サボったという事実もだ。怠った分はこれからきっちり働いてもらうぞ」
桂が銀時に注意して、高杉は聞くタイミングを逃してしまった。
「そこで貴様には、辰馬と協力して家財の上のクモの巣を除去してもらう。丁度いいはたきがなくてな。お前たちが協力すれば、道具がなくとも背伸びをして頭を突っ込めば問題なかろう」
「誰の頭がクイックルワイパーだコラァ…?」