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君想ふ夜桜《銀魂》

第8章 夜更けって怖いけど大人になった気分がしてワクワクする



少女は身軽な動きと培ってきた洞察力で、役人たちの襲撃をかわした。

峰打ちを狙ってきてるも、向こうが決して刃を使わないとは言い切れない。


役人2人がかりで隙を付こうとすると、
少女は鞘のままの刀を地面にさして、上手く体重をかけ、体を一瞬宙に浮かせてかわした。

「「なッ!!」」

そんなアクロバティックで反則的な動きに、肝を潰された。

持ち上がった体で、そのまま役人たちの首に蹴りを入れた。

(バカな…!童ごときの力で大の大人を。いや、それより何故正確な位置が分かる?)

手慣れた動きで次々に気絶させ、狙うべき箇所を確実に狙ってる
視界が暗いにも関わらず


ついに、生き残りは1人になった。

役人は少女の攻撃を何とかかわすも、次の素早い動きについていけず、腹部に強い打撃を食らった。

「ガッ!」

瞬間、少女は着物の袖からあるものを取り出し、役人の腕に刺してすぐに距離を取った。

「き、貴様…何を…」

役人は鈍痛がする腕を抑えた。

「睡眠薬。本来は医療用の麻酔薬のを改良した…強度の眠気を起こさせる」

手には使用済みの注射器があった。

途端に役人は頭がボーッとしてきた。

(まさか、仲間も…!)

辺りの伸びている役人を見渡した。

気絶は打撃ではなく、いやそれと薬を入れられたのが原因で…!

うつ伏せに倒れ、段々と意識が薄れてく。

「ば、バカな…」

役人として国を護るために尽くしてきたプライドが、こんな小童に敗北したことにより崩された。

しかも、刀を一切抜かなかった相手に。

少女は這い蹲っている役人を見下ろして、刀を向けた。

「二度と吉田松陽に近付くな。次会ったときは…手加減しない…」

“手加減しない”という言葉に、役人は急に臆病風に吹かれた。

さっきの腹部への打撃も、もし鞘から抜かれた刀だったら致命傷だった。


そして何より、その冷ややかな目は、子供がするような眼差しではなかった。


「グッ…貴様のような奴を生み出したその男こそが、国家にとっての危険分子だ」

眠気に堪えて、自分を見下ろしてる小童に向かって言った。

弟子ではなく、その師こそが全ての元凶だと。

しかし、少女はその言葉に全く反応を見せない。
人間味がなく、表情何一つ変えなかった。

「あの人は関係無い。出会う前から私は
・・・
すでにそうだ」

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