第8章 夜更けって怖いけど大人になった気分がしてワクワクする
「ま、俺にはどーでもいーことだが」
彼女は問い詰められると警戒したが、銀時はそれに興味無さげであった。
そんな無気力でいい加減な性格に少し救われた。
銀時にとって人の事情など、大したことではなかった。
元々無口な奴に聞いても、知らん顔されるのがオチだと、最初からお見通しだったのか。
いや、聞くまでもなく 何となく察しが付いていたのかもしれない。
初めて少女に会った時、その目を見て真っ先に思った。
“ああ、コイツも 自分を護るために殺したのか”と
「それに、夜遅く独りプラプラ歩き回るのはほどほどにした方がいいな。大人に目ェ付けられるしお肌にも良くねェから。特に女子は」
嫌みったらしく言いつつ、銀時は無意識に遠回しに心配していた。
「……私たちの年なら体格差もまだ著しくない。この暗さなら性別は判定されにくい」
「いやそーいう問題じゃねーよ」
自分が女の子だという自覚がない。
銀時は少女のそんな所も心配しているのか。
「いずれにせよ……今回だけにする」
少女はそう言い残し、銀時よりも先に行ってしまった。
行き先は分かっており、案内される必要もなく。
周りはまた沈黙と化し、銀時は自分のマフラーに触れた。
(やれやれ。こんな夜で心細そうだから、手でも繋いでやろうと思ったのにな)
※それは明らかに自分の願望だ
でも、やっぱりアイツなら独りでも大丈夫だろう
勝負したこともあるし、実力も知ってるからな
おし、そろそろ行くか。あの悪ガキ2人の所へ…
役人が数人、並んで夜道を歩いている
明るいと人目にもつくので、夜挙行することにしてた
そして、寝静まってるところを狙うためでもある
その向かってる目的地とは、怪しげな教えを説いていると噂されてる寺子屋。松下村塾
怪しい浪人が、子供を集め剣と手習いを教えている。
幕府批判、国家転覆など世に背く悪行も説いてるという話も出て、ついにここまで来てしまった。
役人たちは夜道を警戒していた。しかし…
ドガッ!
((!!))
後ろから殴るような音がし、役人たちは反射的にバッと振り向き、ちょうちんの灯りでそれを見た。
そこには、仲間が1人倒れてそばには小さな童が、鞘に納めたままの真剣を持っていた。
「な、何だ貴様はッ…?!」