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君想ふ夜桜《銀魂》

第8章 夜更けって怖いけど大人になった気分がしてワクワクする



(オメーかよォォ!!)

冗談かました張本人が、幽霊になりすまして俺の目の前、いや後ろに来やがった

口を塞がれ、ツッコみようにもツッコめない

しかも、戦で感じる以上の殺気を感じた

「ムガムゴッ!」
(離せよッ!)

雅は、息がしずらそうな銀時からようやく手を離した。

「びっくりさせないで。心臓止まるかと思った」
(壁にぶつかったと思ったが、まさか人の背中とは)

どうやら彼女も、こんな時間にこんなところで誰かがいるとは思わなかったらしい。

しかもそれがあの銀時とは…

「いや、びっくりしたのこっちィッ!息殺していた相手を息ごと殺してどうする!?少しは手加減しろッ!」

雅は人差し指を口に当てて、シーッ!と言った。

こんな夜に辰馬並みのデカい声を出すなと注意した。


「肝試しするにはまだ時期が早いが、その様子だとお手洗いか」

「独り肝試しなんてどんだけ悲しい奴なんだよ。てめーと一緒にするな」

4人の中でボケもツッコミも万能な銀時は、寝起きもこんなにキレッキレである。

「つーか、お前こそ何でこんなところにいる?その様子だと便所じゃなさそーだが」

そう聞かれると、彼女は辺りを見回した。

「…1つ聞くけど、ここに来るまで何か落ちてなかった?」

「あ?それがお前がここにいる理由か?」

そう。雅は探したいものがあった。

聞くと暗色のノートだと言ったが、銀時は全く心当たりがなかった。

宴でこの廊下はかなりの人数が込み合っていた。
ひょっとしたら、その中の誰かが見つけてどこかに持って行ったのではないかと銀時は言うと、雅は納得した。

「こんな暗ェと見つけるのは無謀だぜ。明日にしな」

その時、銀時はハッとなった。

1人で寝室に戻らなきゃいけない

雅の部屋は真逆の方だから、ここからまた孤独な道を行かなければならない。

さっき発狂したばかりで、どんよりと肩を落とした。

「よし。行こうか」

何故か雅は銀時の寝室に体を向けていた。

「え?お前…方向逆なんじゃ」

「アンタじゃ頼りない。見落としてるかもしれないから自身の目で確認しに行く」

銀時は口をポカンとしてから次第に綻びた。

「んじゃ、行くか」

いつもの無愛嬌な物言いなのに、そんな彼女に何故かほっこりした。

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