第8章 夜更けって怖いけど大人になった気分がしてワクワクする
あの時は冗談に聞こえたのに、今では暗闇の中の恐怖をさらに増大させる。
脚が震えだし、外から吹いてくる冷たい風に厠へ行くよう急かされる。
(あー、アイツとんでもねェ地雷埋めやがった)
銀時は自分の顔を片手で覆った。
月は雲に覆われ暗闇で何も見えないので、この状況誰かがいても気付くことは難しい。
もしかすると、すでに後ろに……
そんなありもしない幻影を思いながら、銀時は何とか厠へ着く。
中を念のため確認しに、扉をゆっくり開けてゆっくり覗いた。
思った通り誰もいなく、不意にホッと一息ついた。
急いで用を足したら、低い手洗場に屈んで急いで手を洗った。
(おし。早くここを出…)
顔を上げようとするも、そのままだと鏡を見てしまうことに気付く。
鏡を見たら後ろになにかがいることに気付き悲鳴を上げるシーンは、ホラー映画でもよくありそうな展開。
ホラー映画自体絶対見ない銀時でも、危機感を抱き顔を上げずそのまま退出して、いつもより静かに扉を閉めた。
(ふぅ。何とか目的は果たした)
心中でガッツポーズをし、急いで戻ろうとしたその時、
ギシッ………ギシッ……ギシッ
安心したのも束の間で、どこからか足音が聞こえてきた。
(!!)
こんな夜に誰が?
まさか俺と同じ、用を足しにここまで険しい道のりを?
この寺自体かなり古く、老朽化してる箇所も所々ある。廊下もそう
暗くても音で一発で分かる
(まさか、高杉が嫌がらせしに?とんだ陰気野郎だな)
※自分が今までやってきた行いを振り返ってみるとよい
後ずさり、心臓の鼓動が段々速くなっていく。
(か、か…確認…してみる…か?)
心の声も震えてた。
一言でも声を出せば、その誰かが何らかの反応をする。
そうすれば、その誰かが分かる。
前ばかり見てたせいで、後ろに全く気付かなかった…
背中に何かが触れた感触がして、思わず叫ぶ。
「あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!」
そのひょうしに後ろから口を塞がれた。
パニックのあまり体が動かない。
(ヤバい!窒息させられ……あれ?この…手?)
口を抑えてる手が、やけに小さかった。
男のモンじゃねェ。ってことは…
「うるさい。近所迷惑だ」
聞き慣れたその声に俺は後ろを振り返り、同時に月明かりが照らす
雅が、俺の後ろに立っていた