第6章 継続は力なり
「何だァジロジロ見て?」
銀時は高杉の視線に不審に感じた。
「もしかして邪魔されたとか嫉妬しちゃってんの?」
余裕の笑みでいつものようにからかった。
「てめーなんか誰が羨むか」
負けず嫌いで意地っ張りな高杉は言い張る。
銀時は雅の肩に手を置いた。
「そーいや聞いたぜ。頬っぺに随分深い傷負ったらしいな」
(雅から…?)
あの銀時が俺を気にかけるなんて…一体何のつもりだと、怪訝に思う。
「そしたら言ってたぜ。
“せっかくのキレイなツラが台無しだな”って…」
(!)
世辞を最も言わなそうな奴が銀時に言ったことに物凄く衝撃を受けた。
持ってた杯を思わず落としそうになる。
(アイツがそんな…!)
「アンタ、辰馬からそんなこと聞いてたのか」
は?
雅がそう言った途端、キョトンとしてから銀時を睨む。
「てめェ…」
「俺は“誰から”とは一言も言ってねェ。何?コイツから言われた方が嬉しかったの?」
ハメられたと、俯いて顔を手で覆い脱力感に襲われた。
雅は嘆息して銀時の方を見た。
「話は弾んでるけど、晋助の傷は下手したら失明してた。そんな笑い事じゃない」
「そんなヤバかったのか?」
黙って頷いた。
「こうなったのも、手負いで強敵に挑んで避ける余裕がなかったんだと思う。晋助も少しは反省すべきだよ」
「あ、あぁ…」
返す言葉がない。
足が思うように動かせなくて、避けれたはずの攻撃で頬に深手を負った。
戦況がまさにその通りだったからだ。
雅は一言断ってから高杉の頬にそっと触れ、また傷を見た。
「ツラだろうがどこだろうが、戦で取り返しのつかない傷を負うのは凡庸。
でも、本当に失明しなくてよかったよ。親からもらった顔は大切にしなよ」
そう言って手を離した途端、高杉はさっきよりも深く俯いた。
その様子に銀時は怪しがる。
「あれェ?お前…ひょっとして赤く…」
「なってねェ」
また触られるとは思わなかった…
触れられた頬を、自分の手で撫でた。
「いやぜってーそうだろ、意識高過ぎ高杉くん。
最近出番多いからって調子乗ってんじゃねーか?auのCMでも美女と共演してよォ」
「いやそれ別の高杉」
銀魂十八番の3次元ネタに、雅はツッコむ。