第6章 継続は力なり
黒子野は言ったが、俺は雅を知ってるようで何も知らねェ
生い立ちや不審な紙切れ1枚と、気になることはいくつもある
ヅラや辰馬が問い詰めても、「アンタには関係ない」と黙秘してどっかに行っちまう
アイツの変なとこも無口な性格は誰もが知ってる
何となく辺りを見たら、近くにいる銀時が目に入った。
『ま、誰だって隠し事の1つや2つあるもんだしよ』
珍しくあの“バカ”(銀時)が気遣って言ったことだ
雅の場合、1つ2つどころじゃねェが…
(あの野郎。人の気遣いできんなら、もっと別の所に…
? ちょっと待てよ)
その前に言われたことを思い出した。
『そーだろうな…』
『そこまで気になんなら、アイツに聞いてみるもんだな』
アイツの無口を知ってるのにそんなこと言ったのは、俺への当てつけだと思ってた
それも上から目線で、相変わらず気に障る野郎だと思ったことも覚えてる
だが今思い起こすと、妙な違和感を覚えた
銀時がアイツに
・・・・・
そんなこと聞いてる所見たことねェ
雅を気遣って、いや、
・・・・・
庇うような口調
(まさか…!)
雅とういろうを食べた夜でも、アイツは確か…
『“銀時と同じだよ”。
私は、1人迷っていた所を松陽先生に助けられた形であの塾に入った』
わざわざ名前も出して、“アイツと自分は同じ”と自ら言ってた
他人とを自分重ね合わせるなんざ、アイツらしくもなかった
あの言い方はまるで、銀時が“特別”みてェな
いつもの高杉なら、その考えは嫉妬に変わるのだが、ある一つのことだけを想定してた。
松下村塾で雅と一番過ごしてたのは銀時だ
ならアイツのことを人一倍に知っててもおかしくねェ話だ
何で今まで気付かなかったんだ?
「アイツに聞け」ってのも、言い換えりゃ「俺には聞くな」
気遣ったのは、アイツの“それ”(隠し事)をもとから…
(俺たちが知らないだけで、まさかアイツ“何か”知って…)
思い込んでると、雅と偶然目が合ってしまい、ビクッと驚いた。
自分の様子を不審に思われてないか心配した。
(……独りで考えてもあれだしな。取りあえず本人に落ち合うか)
高杉は辰馬の後ろに立った。
「俺がなんだって?」
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