第6章 継続は力なり
そしてさっきから気になるんだが、酒に酔ってんのか辰馬の野郎が騒がしい
雅にすげェ迷惑かけてるようにしか見えねェ
(やっぱこんな人口密度高い所に慣れねー上、よりによってバカと同席は気が詰まるか)
人選ミスだったか?
俺だったらもっと奴の気持ちを汲み取れた
“自分の方が彼女の気持ちをよく分かってる”
他人に言われれば、人は自然と自信がつくものだ。
ひょっとすると高杉は意外と、誉めると伸びるタイプなのだろか?
※あくまで“作者”(私)の妄想であり、実際とは異なることは大変十分有り得ます
(俺がアイツにどう思われてるかは知らねェが、今回も借りがあるからな。“助けて”(フォローして)やるか…)
よいしょと腰を上げ、黒子野に席を離れると伝えて向かった。
人集りで歩きにくい中まだ治ってない足で、辰馬と雅の死角の少し離れた所まで来た。
周りの喧騒で少し聞こえにくいが、若干の話の内容は聞き取れた。
何故か自分がボロクソ言われている
(何 雅に吹き込んでんだよ?)
自分が愚痴られていることより、それを雅に言ってんのが許せねェ
アイツがそんな話に乗るわけねェし、俺もどう思われようが知ったことじゃねェが、
“バカ”(辰馬)に言われるのが何か腹立つ
そんな誰が聞いても得にならねェどうでもいい愚痴、ダウン○ウンにでも聞いてもらえ
すぐに文句を言いに行きたいのを抑え、徐々に近付いていった。
速攻現れたら焦ってることを指摘され奴の思う壺になるかもしれない。なら様子を見て、ここぞという時に言ってやる
「おまんは戦の帰りで、アイツと揉めとったんじゃないのか?」
(!)
“揉めていた”
はっきり言われ、あの時の気まずい空気をまた思い出してしまった。
第三者からはそう見えていたとなると、やっぱ俺が雅を、アイツを傷付けたのか?
部屋に行ったのはそれも踏まえて聞きたかったんだが、アイツの寂しそうな目を見たら躊躇った
周りを見る目が長ける黒子野に一度言われたことがあった
『雅さんはいつも冷静でいて強くて優しい人です。けど出陣前や普段でもたまに彼女の横顔が……何故か…悲しそうに見えるんです』
「考え過ぎかもしれない」と笑って言ってたが、俺にはそれが奴の思い込みとは思えなかった