第6章 継続は力なり
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回想
というなりゆきで、雅の左隣に坂本で、高杉は少し離れた所に座った。
イライラ
強引に場所を取られ、少しご機嫌斜めな様子
(アイツ…まさか俺を行かせたのは“これ”を狙ってたのか?)
いつも冷静で合理的な雅も、辰馬の言い分に納得してた
今アイツは、辰馬から酌してもらって飲んでる
(そうかアイツ、酒強かったな…)
いつかは忘れちまったが、以前何かの集いで酒を皆でたしなんだが、アイツ以外全員酔いつぶれたことがあった
顔も全然赤くなかった上、まだ余裕の表情だったっけな
(酒っつーよりも、ジュース飲んでそうなイメージだけどな)
さり気なくヒドいことを…
高杉は自分の飲みかけに手を付け、それに対し雅は辰馬に酌していた。
(……)
俺はただアイツが人混みが得意じゃねェことをよく知って、だから手でも貸してやろうかと思っただけだ
別に俺自身が隣に座りたいとか、アイツの酌が目当てとか思ってねェし
だが、今の様子を見れば問題なさそうだ…
辰馬と何か話をしてるようだ。いつも通りのしんみりとしたつまんなそうな表情で
高杉はそれを見て、何故か安堵に似たような感情になった。
「あの、酌しましょうか?」
高杉の隣に別の誰かがご一緒したいと名乗り出た。
「あぁ。すまねェ」
話し相手がいなく1人で飲むのは少し退屈だと思って、丁度良かったので空の杯を出した。
こぼれそうになるくらいついでもらい、それを飲んだ。
「今回は強敵でしたが、何とか勝ちましたね」
高杉はソイツの顔を見たら、影が薄いでおなじみの黒子野だということにようやく気付いた。
(!!)
現在進行形で飲んでる酒を危うく吹き出しそうになった。
「おまッ…!く、黒子野か」
さり気なく隣に。声を聞いてもすぐに分からなかった
酒のせいもあるかもしんねェが、こんな気付かれないモンか?
「いきなりすいません。さっき雅さんを連れてきたのが少し気になって」
黒子野は、高杉が彼女を気にかけることを十分知ってた。
今回誘ったのも、彼女のためだということも。
「誰だってこういう羽休めが必要だからな」
雅のことを見て呟く高杉に、黒子野はフッと微笑んだ。
「高杉さんは雅さんのこと、本当に大切なんですね」