第6章 継続は力なり
「え?」
“護る”
つい声が出てしまうほど、彼女はその言葉に衝撃を受けた
いつも半ば呆れながら眺めてたその笑みが、今だけは少し違う風に感じ取れた
坂本はお酒を飲みながら、「これは単にわしの持論に過ぎんけどな」と話を続ける。
「おまんがあの場所であの男の命を救ったことで、あそこにおる者の
・
心も救ったんじゃ。
1つの命は、ソイツだけのものじゃない。友や家族や恋人全てとの縁故によって固く結び付いているもんじゃ」
自信を持ってそう言えるのは、坂本があの親友に実際聞いたからだ。
回想
〈戦場〉
「ヅラ。この後は?」
「今日はもう撤収だ。今回の作戦も無事に終わったからな」
雅と桂は話し合い、患者が担架に運ばれていった時
坂本はそれを眺めながら、戦の成果に喜びを感じていた。
(ふぅー。何とか終わったみたいじゃの)
激戦のすぐ後に執刀するとは、全く大した女ぜよ
安心して何となく隣を見たら、患者の親友が自分と同じく雅をじっと見つめていた。
「大丈夫か?」
気になって声を掛けると、そのままそっと呟いた。
「あの人は、雅さんは…
・・・
俺たちの命の恩人です」
その言葉を聞いた途端、喜びが違う感情に変わり、そしてそれは何を意味するのか瞬時に理解できた。
(……それほどこの2人は、強い絆で結ばれた友なのだろう)
大切な者が死ねば、その心は生きてるとは言い難いくらい変わり果てる
この戦で枚挙に暇がないくらい仲間が死んだ。わしにもよう分かる
本当にすごいの。雅は
その働きを今すぐにでも賞賛したいと、坂本はいきなり雅の背中に飛びついた。
「よくやったのぉ!雅!!」
(!)
自分より圧倒的に小さな相手に肩を組んで豪快に笑った。
「さすがじゃ!おまんのおかげで
・・
2人も救われたんじゃ!お手柄ぜよッ!!」
明らかに嫌がってそうでも、お構いなしにはしゃいだ。
本当にすごいじゃなかァ。おまんは…
現在
コイツは明らかに、わしらとは違うもんがある
命を救う“術”(すべ)はもちろん、戦で敵の
命を奪う“覚悟”の両方を持っとることじゃ
わしらはただ剣を振るうだけで、1つのことしかできない
・
2つをこなすなんて並大抵の者はできんからの