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君想ふ夜桜《銀魂》

第6章 継続は力なり




今まで、何人もの手術を施してきた

その中で、果たしてどれくらいの人が命を落としたのか

その大半の原因は、傷が深すぎたかあるいは、時間だ

全員助けたいと強く望んでも、その思いを裏切るように、時間は待ってくれない

もう少し早ければ もっと時間さえあれば

そんな言い訳みたいなことを思いながら、目の前の亡骸に「助けられなくてごめんね」と悔やむ

それだけじゃない この戦自体そうなんだ…



回想
〈戦場〉

突き飛ばされてから急いで体勢を立て直すが、仲間は天人の前でうつ伏せに倒れてた。

「やった…ざ、ざまあねーな」

天人は手柄を取ったと喜びの表情になってる。

小刀は、背中を突き抜けるほど深く刺されてる。


それを見た雅は、いつもと少し違う雰囲気に変わった


息をするよりも速く、天人に向かって駆け出した。

「や、やれッ!」

天人が合図を出すと同時に、屍の中に潜んでた別の敵が数体現れた。

雅を囲んで一斉に攻撃をしかけた。

しかし彼女は、全く動じもせずむしろいつもより泰然自若に、周りの敵を全て片付けた。

頬に返り血を付け、傷は肩を少し斬られただけ

「な…なんだと!?」

この一瞬で、しかも初めから襲ってくることを知ってるように全員を…


雅は天人の方を睨んだ。

「ヒィィィッ!」

天人はビビって後ずさりしたが、雅は天人ではなく仲間の元に来てしゃがんだ。

ハナから仲間の応急処置のために急いで駆けつけたのであって、敵のことなど眼中になかった。

小刀は胸部の真ん中から少し左寄り。つまり

(もう これは…)

もっと違う位置だったら。せめてもう少しずれていれば…


雅は刀を持って立ち上がり、今度は天人の方に目を向けた。

天人はさっきのように、おののくだけの腰抜けだ。

武器を持ってなくても、周りには死体の刀など代わりがゴロゴロ落ちている。

にもかかわらず、雅に立ち向かおうとしないは、まともに戦っても勝てないと悟ってるのか。


「!! 待てよ。お前は…!」

天人は雅の顔をよく見て、思い出した。

「その青髪!左利きの女侍。貴様ァまさかあの…!」

雅の存在は幕府軍だけでなく天人にも知られている。

“翡翠の巫女”とは違う通り名でも

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