第6章 継続は力なり
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現在
「……そんなことが」
雅がそんな憂鬱な顔をしてるのがようやく分かった
敵に、しかも騙し討ちで目の前で仲間が殺された
そりゃ誰だって激情して、すぐソイツを殺しにいくだろう
俺だったとしても同じようにしてた
「応急処置しようとしたけど、心臓を一突きだった。騙されてショックを受けたような顔のまま死んでいったよ」
いつものように煙管をたしなもうとしないのは、気分が悪いからだと何となく分かる
「その後あの天人を仕留めた。敵討ちなんて考えちゃいない。どんな状況だったとしても、私がやることは変わらなかったよ」
高杉は言葉を失っていた。
何て声を掛けるべきか模索したが、掛ける言葉がすぐには思いつかない。
救えなかった仲間のことで、自分を責めてるのか
それとも、
あの天人を殺したことで、何か少しでも思い残すことがあるのか
だが、励ましの言葉を掛けたとしても「自分は気を遣われてる」と、余計コイツは気分が沈むかもしれねェ
ここはそっとしておく方がいいのか?
そう悩んでると、思いも寄らないことを聞かれた。
「アンタは私を、人間離れしてるって思ったことはある?」
!!
「は?」
驚きのあまり、つい声が出た。
今まで、そんなこと聞かれたことがなかった
「周りにどう思われようが、そんなことどうでもいい」なんて言ってたコイツがまさか
「どう思う?」
返答を求めてきてる。
正直に言うと、普通じゃない所しか見つからねェ
思考や言動、あとは良く言えば医術の腕も並外れてる
あとは冷静さや戦力としてでも、何もかも
昔も、全く無表情なコイツを人形みたいだなんて思ってた
ここは、正直に言いつつあまり気分を害さねーよう言おう
「ま、まぁ確かにお前には周りとは違う所はあると思うぜ。だが俺から言わせりゃ、“ここ”にまともな人間なんざいねェと思うが」
一見バカそうな辰馬や、色々と面倒臭ェヅラに、顔も見たくねェ銀髪バカも
「それは、アンタも含まれてるの?」
高杉は自ら地雷を踏んだ。
「お前は俺をまともだと思うか?」
「いや」
人が気遣ってやったのに即答され、少しイラッときた。
そして雅はまたあの時を思い返す。
少なくともあの天人からすれば、私はそう見えていたんだろうな
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