第6章 継続は力なり
「はい!僕に任せてください」
今まで他人の力を借りることなく、大抵は1人でこなす雅が、人に任せることは滅多にない。
そんな彼女に託された黒子野は、嬉しさと自信がついた。
すぐに向かおうとするが、まだ話しておきたいことがあると足を止めた。
「わがままかもしれませんが、考えなしではないんです。あの天人とまだ戦ってない僕なら、攻撃パターンを知られてないので、ひょっとしたら隙を作れるんじゃないかと思ったんです」
なるほど。私の攻撃は恐らくアイツに見切られてるから、なら黒子野の方が勝機があるということか
確かにその通りだ
「それに、高杉さんにとっても……いや、何でもないです」
「?」
黒子野はあえて言うのを止めたので、雅は何を言いたかったのか分からなかった。
それは何かというと、
高杉にとって、護ろうとした彼女に逆に自分を助けに来られたら、きっと面目ない結果になると気を遣ったのだ
(女の人に、しかも護りたい人に護られちゃ、男のプライドもないですもんね…)
さすがフォローも出来る男だ。
最後に黒子野はこんな事を口にする。
「雅さんは、ここにいる皆さんにとってムードメーカーみたいな存在ですので、皆さんのおそばにいて癒してあげてください」
それは、“傷を癒す”ってニュアンスとして解釈していいのか?
「それに僕だって、たまには読者の皆さんにカッコイい所を見せたいって思うこともあるんですよ」
だからあんなに必死になってたのか?
高杉のことを心配してる雅の緊張した様子を癒すように、黒子野は微笑んで軽い談笑をした。
「僕ももう行きます。ご武運を」
黒子野は片方の手を出した。
「…うん。そっちも」
雅も手を出して、2人はすれ違いざまにハイタッチして、各々の戦場に向かった。
雅を含む鬼兵隊はそのまま、敵と戦いながら激戦地へ進んだ。
(段々と敵が手ごわくなっているな。空模様も嫌な感じだ)
見上げると、雨が降りそうな曇天が広がっている。
ワァァァ!!
凄まじい戦況の中、敵と剣を交え、危うく陣羽織の懐あたりを狙われそうになった。
(…ッ!)
雅はギリギリ回避し、すぐに体勢を立て直し斬り込んだ。
(危なかった)
もう少しで、大事なものが…