第6章 継続は力なり
今まで思っていたこと(本心)を、戦場のド真ん中で打ち明けた。
「僕はいつもあなたに助けてもらってばかりで、それに比べて僕は甘味を選別するくらいしか、些細なことしかできません。それでずっと、何かお役に立てないかと思ってました」
(黒子野…)
私は別に恩返しされたくて、今まで戦ってきたわけじゃない
アンタがそんな深く思い悩むことはないんだよ
そう言おうとしたが、今は黒子野が言いたいことを言ってるからそれを聞くべきだと思った。
「確かに僕の力では、皆さんを影でサポートするのが精一杯です。それでも高杉さんと約束したんです。何かあったら必ず助けにいくと」
その目は、覚悟を決めた強い眼差しだった
「アンタ。そんなに……
ネガティブなんて知らなかったよ」
そんな意外な発言に対し、黒子野は目が点になった。
「い、今言うんですかそれ?」
シリアスなムードが一言で一気にガランと変わった。
「一応ムードメーカーと知られてるアンタが、そんな一面もあるんだと思った」
いくら謙虚でも、卑屈過ぎる考えも持つと自分にとってマイナスにしかならない
「アンタが控え目な性格は知ってるけど、そんな自分の価値を低くみなすのはやめた方がいい」
「は、はい…」
高杉の援護に行く話が、何故か全く違うベクトルに向かった。
黒子野も、お願いしてるはずが何で性格のことを指摘されてるのかと、奇妙な展開にフリーズした。
(私は医者はやってるけど、カウンセラーなんてごめんだ)
人付き合いを好まない彼女にとって、人の悩みを聞いたり相談に乗るのは、あまり乗り気じゃないらしい。
(でも、確かに…)
雅は一旦気持ちの切り替えをするために、吐息を漏らした。
「黒子野。これでも私は、アンタのことは信用している」
黒子野がこんなに言うのは、何か絶対的な根拠や確信があるってことだ
私は、彼が
洞察力が優れ、周りを見た上での冷静な判断力も持ってることを知っている
そして何より
謙虚よりも“もっといいモノ”を持ってることも知ってる
晋助と約束した、なんて言ったね
男同士の約束に、“私”(女)は手出し無用ってことか
なら、私がすべきことは
「分かった。晋助はアンタに任せる。
ここは私が引き受ける」