第6章 継続は力なり
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回想
〈戦場〉
総督の指示により、鬼兵隊は仲間の援護をしに向かっていた。
その中の雅は落ち着かない様子だった。
(晋助…)
いくらアイツでもあんな足で、あんなボスレベルの敵に
大将がやられちゃ、終わりだって言ったのに
(“私"(医者)が“アイツ”(けが人)を止めるべきだった…)
格好つけてるつもりかもしれないが、昔からの強がりも時と場合を考えてよ
天人の集団に出くわすが、鬼兵隊は圧倒的な力の差を見せつける。
総督がいなくとも、各々のやるべきことがちゃんと解ってる
たとえどんな状況下でも陣形を崩さず、常に敵よりも上手に行けるというのはまさに軍隊の強みだ
そしてそれは、“リーダー”(アイツ)が優秀だからなのかもしれない
“鬼”のように強いと言われるのがよく分かる
(なんて関心してる場合でもないが)
「雅さん!」
その中、黒子野は雅と同様 不安な様子で雅の横に来た。
「やっぱり僕は、高杉さんが心配です」
「奇遇だな。私も今そう思ってた」
考えてることは一緒らしい
「あの天人、ただ者じゃありませんよ。いくら高杉さんでも…」
確かにそうだ。実際剣を交えた私も体感した
相手の隙に入ってくる容赦ないあの柔軟な剣術
心を読まれてるような気がしてぞっとした
あの、内側に入ってくるような感覚…
「僕はやっぱり、高杉さんの所に行きます」
私が今言いそうなセリフを、まさに黒子野が言った
「なら私も行く」
けが人のアイツのことも心配だから
「いえ。今回は僕に任せてくれませんか?雅さんは皆さんといてください」
え…?!
「何を…」
黒子野は真剣な眼差しと表情でお願いした。
「確かに影の薄い僕ですが、いつも雅さんに任せていては、面目が立ちません」
「独りなんて無茶だ。アンタも言ったように相手は強敵だ。人数は多い方が…」
それでも黒子野は引き下がらなかった。
誰かと雑談もあまりしない雅が、しかも黒子野とここまで話がもつれることは今までなかった
(あの謙虚な黒子野がこんなに我を通すなんて…)
黒子野は真剣な顔から、またいつもの優しい笑顔になった。
「たまには、僕を頼ってくださいよ。仲間じゃないですか」