第6章 継続は力なり
(何つーもん教えてんだアイツは。影薄いのはアイツの専売特許みたいなモンだろ?会得できるようなモンなのか?)
毎度、黒子野には驚かされる…
(いや待てよ、コイツ…)
雅に会うのが気まずいと思いきや、意外と普通に話せることに驚いた。
見たところ、いつもと変わりなさそうだが…
ようやく期し、聞いてみた
「……雅。聞きてェことがあるんだが」
「……」
雅は暗い表情になり、何を聞かれるのか分かってるような様子だった。
「…予約で来たんだよね。入りな」
目も合わせず、雅は高杉を自分の部屋に招き入れた。
〈雅の部屋〉
そこには救急箱が用意されていた。
診察に予め準備してたのだろう。
「そこ座って。足も見せて」
高杉は腰を下ろし、痛めた方の足の裾をまくった。
「やっぱり、随分負担かけたね…」
足に触れる前に、見ただけで即座に言った。
「即答かよ。そんなに無茶したのか?」
グッ!
(!)
「痛ッッッ!!!?」
まさに押されたくない所をピンポイントで押され、鈍痛の上にさらなる激痛が走った。
「昨日と同じ力をかけてもこの違い、差は一目瞭然だよ」
「ッ…!」
(まさかここまでとァ…)
気のせいか雅の言動から、若干の殺気と苛立ちが…
(無茶したこと、そんなに怒ってんのか)
仮に医者である雅は、無茶し過ぎた患者さんに足の容態を詳しく説明した。
「恐らく痛みに慣れてきたせいで、体が思ってる以上にダメージ負ってるのに気付いてないんだと思う。明日はゆっくり体を休めて。むしろ今から休めて。
あの薬もあくまであの時、一時的に痛みを和らげるもので、治るわけじゃないから」
説明の仕方やその説得力に、高杉は心の中で少し関心していた。
(やっぱ、あんな戦場で執刀すんのも伊達じゃねェ…)
医者の言うことは違う
「下手したら切断するハメになってた…」
「ッ?!」
高杉は目を丸くして、驚きで言葉が出なかった。
嘘だろ。まさかそんな深刻に?!
「なんて言われないよう、これからは体を気遣って」
「本当に嘘かよ!」
表情何一つ変えず平然とジョークを言った。
それが果たして本当に嘘なのか見抜けないほどのポーカーフェイスで、まんまと騙された。