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君想ふ夜桜《銀魂》

第6章 継続は力なり



〈廊下〉

スタスタスタ

鈍痛が続く足を引きずりながら早歩きで、行き慣れた廊下を歩いてた。

それと同時に、頭の回転も早かった。

(アイツが訳分かんねェのは昔からだ。今だってそうだ。だが…)

らしくもねェ
戦場で全く臆さないアイツが、紙1枚で取り乱すなんて

(“見られたくねェ”って感じだったな。あのあと避けるように行っちまって、まるで俺が悪いことしたみてーじゃねェか)


“そのしょぼくれた感じ。おなごに振られたあとみたいぜよ”


辰馬に言われたのも、合ってんのかもしれねェ…

(って、何納得してんだ俺は?)

珍しく自分で自分をツッコんだ。


本題はそこじゃねー。“あの紙”だ

(懐にあったってことァ、多分奴のモンだ)

いや、あれはただの紙じゃねェ

(あれは……写真?)

一瞬だったから、何の写真かは分からねェ
見られたくない上、大事に懐にしまってまるで…

「……」

高杉は一旦止まり、着物の小袋からあるものを取り出した。

今回の戦でも持ち歩いてた、亡くなった鬼兵隊の1人が遺した御守りだ

(…アイツ)

無感情であんまこだわりも持たねェ奴が、あんな大事そうに持ってんなんて…
しかも戦場に

“冷淡”なんて言われてたアイツにも、やっぱ 大切にしてる物もあるんだな

高杉はまた歩き始め、雅の部屋に向かった。

(一体、何の写真だったんだ…?)


考えてる内に、気付いたら部屋の前に到着した。

襖を開けようと手を伸ばしたら、
誰かと喧嘩した後のように、何故か気まずさが込み上げてきた。

(また避けられたら…)

いや、足のリハビリは予約済みだから、雅も知ってるはずだ
俺が来ても何の不自然もないだろうぜ

スーッ

腹を決めて開けたら、前回と同様 誰もいなかった。

(前回と同じ? てことは…!)

まさか、また外で泣いてんじゃ…







「何でさっきから襖とにらめっこしてるの?」

「!!」

バッと右側を見たら、雅が壁に寄りかかって立っていた。

「おまっ…!い、いつからいた?!」

「ずっとだよ」

雅はため息と呆れ顔をした。

「先日、黒子野に気配の消し方を教えてもらったけど、ここまで気付かれないとは」

「黒子野に教わったのかよそれ?」

前回の怪奇現象が、今更ようやく納得できた

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