第6章 継続は力なり
「そういえば俺も思った。足場も悪い上に血の臭いも…」
そう言う桂も、あの場にいた誰もが薄々思っていた
また脳裏に蘇る、雅のあの様子
見間違いだと思いたいとこだが、あの戦況をまた思い返すと、やっぱりあれァ普通じゃねー…
そして何よりあの後、ただ落としたもん拾おうとしただけで明らかに動揺していた
そんなことを含め、高杉の憂慮はさらに大きくなった。
(考えるとますます…)
「そういや高杉は雅とずっと一緒にいたんじゃろ。何か知っとんじゃないかぁ?」
「!」
「高杉さん?」
黒子野は高杉の顔を覗いた。
辰馬の発言に、不安はますます大きくなった。
「ありゃ…」
「やっぱ今回の主役がいのうと楽しめないぜよ。どれ、ワシが呼んでこよう!」
「!」
自分から聞いたくせに、高杉を遮り雅を呼びに行こうと腰を上げた。
「巫女さまは相当お疲れだからほっといた方がいいんじゃねーか?」
「声を掛けるだけじゃ。前回みとう断られんかもしれないがな。今の高杉みたく」
そこに高杉が即座に入り込んだ。
「俺が聞いてくる。足の治療もあるからな」
足のリハビリという口実をうまく使った。やるなコイツ…
「いつもは“やめとけ”と言うのに珍しいな。そんなに寂しかったのか?」
「寂しかねーよ。アイツに聞きてェこともあるんだ」
「ほんじゃワシも行こうかのぅ。好みのタイプとか、前から聞いてみたかったんじゃ」
「てめーのそういうとこが、アイツを更に疲れさせちまうんだよ。ここは寂しがり屋さんに行かしてやりゃいいんじゃねーか」
珍しく銀時がフォローに入った。
「アッハッハッハッ!ほんじゃ今回はヤクルコ10本で譲ってやろう」
先日買ったばかりのヤクルコ10本入りパック全部と交換条件を突きつけられた。
「おい。あれは俺のモンだぞ」
「じゃ俺もそん中のいくつか貰っとくわ。いつかの賞味期限切れの恨みもあるしな」
「どんだけ根に持ってんだよ。100ページも前の話なんか読者も忘れてんじゃねーか」
「まーいいではないか。それより早く行かんと宴が終わってしまうぞ」
「……チッ」
桂に言われ、高杉も仕方なく妥協することにし、その場を後にした
(またケツにでも刺してやらァ)
いつかやったときのようにヤクルコを渡そうと考えていた…