第6章 継続は力なり
「お、おい…」
「まだ出血してる」
高杉の髪をずらし左目の下らへんの頬を見ると、そこには傷が
(…かなり深い。もしほんの少しずれてたら)
高杉の頬の傷にスッと触れた。
(何か、キスしそうな絵面じゃのう)
坂本は見当違いなことを連想していた。
(あん時のか…)
最後、眼球の天人の刃が頬にかすったんだ
雅はそっと手を離した。
「よりによって今日、本当についてないねアンタ…」
「今日何かあったか?」
「いや…何でもない」
↑この日の更新は8月10日です
「そんな深いんか?どれ?」
辰馬も傷を見ようと手を出したら、近づいてくる顔を踏んで、無理やり止めた。
「ブフォ。な、何すんじゃ!人が心配しちょるに…」
「触んじゃねー。いやそれより顔近づけて見んじゃねー気色悪ィ」
「理不尽?!雅はいいのにわしは何でダメじゃ?!」
「下らないことやってないで、早く行こ」
「そうだな」
「あぁ…無視か…」
その後は桂が先陣をきり、皆は疲労した体を引きずるよう拠点に向けて歩いた。
その中雅は、この後のことを考えてた。
(とにかく戻ったら患者の容態の確認と、また麻酔薬作らないとな…)
「おい」
(あの人は運が良かった…撃ち所が悪かったら取り返しがつかなかった。この後も油断は出来ない、帰ったらすぐ…)
「雅」
「!」
考えるのに夢中で、高杉の呼びかけに気付いてなかった。
何の用だろうと思った矢先、
高杉は雅の青い陣羽織を持っていた。
「それ…!」
「地面に置いてんのもあれだからな。一応持っといた」
自分の物なのにすっかり忘れてた。
雅は受け取ろうとしたら、
パサッ
陣羽織の懐の部分から紙のようなものが落ちた。
(紙?)
「何か落ち…」
高杉が拾おうとしたら、
バッ!
雅は高杉より早く瞬時に拾った。
「!」
急に何だと思い顔を上げたら、雅は明らかに動揺してる表情を浮かべていた。
あのポーカーフェイスの雅が…?
「雅?」
「あ…ご、めん……」
いつもと違う様子に心配してる高杉に対し、雅は一歩下がる。
まるで、見られるのを恐れてるようだった…