第6章 継続は力なり
それはまるで、絶望的な状況の中不安で怯える人にかける、母親が我が子に“大丈夫だよ”と安心させるような、優しい表情。
いつもは見せないのに、まさかこんな状況に…
その笑顔にそばにいた桂や高杉は驚いてた。
触れている志士の手の震えが止まったら、雅は患者に目を向けまた真剣な表情になった。
手術用手袋を付け、すぐさま医療道具を取りやすい位置に動かした。
※ここからは、あくまでフィクションなので、実際のものと異なることもあります
「誰か、血液型B型の人…」
始めから頭に入れてあった味方全員の血液型から、その患者の血液型を瞬時に言った。
「おッ…俺です!」
雅はその人から、患者の輸血分の血液を貰う許可をもらった。
輸血を取るのは他の人に頼み、自分は患者の手の甲に針を刺した。
そこで麻酔薬の投与も完了し、これからが正念場だ。
「周りの人は見張りをお願い。もし敵を見つけたら絶対ここに近付けないよう援護をして」
『はい!』
「だけど、こっちはあまり見ない方がいいと思う。R15指定で、キツいかもしれない」
手術するのは、腹を切るということ
切腹とは少し違う
素人が見るには、少し酷だ
準備ができると、ヅラが心配そうに聞いてきた。
「待て。1人でやるつもりか?」
手術は、医療道具を渡すサポート役が着くのは基本
あの雅が失敗するわけないが、そっちの方がよりより効率的だ。
人の命がかかっている。
ただ、そうすると切開した腹の中が目に入る。
雅は例外だが、どんなに戦に出慣れてる武士でも、医療など専門外。
普通だったら気絶や失神などしてしまう。
それでも桂は、
「俺も手伝おう。以前もやったことがあるから大丈夫なはずだ」
「こんな重い役を仲間1人に任せることは出来ない」と、自ら名乗り出た。
「……じゃ頼む」
桂は雅の左側にしゃがみこみ、腕につけてる防具を取り外し、準備は整った。
2人はアイコンタクトを取った。
「始めよう」
お互いアイコンタクトのようなものをして、手術は始まった。
「メス」
桂からメスを受け取り、慣れた手つきで患部に切り込みを入れた。