第6章 継続は力なり
銀時は回し蹴り、辰馬も三回転してからの斬り込みで敵を圧倒した。
「ッ!て、撤退だァァ!」
勝ち目がないのを悟った天人らは、退散していった。
何とか峠を越した。
激戦がやっと終わり、皆は刀を鞘に収め肩の力を抜いた。
「よし。俺たちも皆と合流し…」
「雅さん!!」
味方の何人かが、物凄く焦って駆けつけてきた。
「何があった?」
その男は膝に手をつき、息切れしながら言った。
「重傷者が1人…撃たれて……!」
その後ろには2人の志士が、腹から出血してる者を肩に担いで
「すぐに寝かせて」
患者の服を破き、瞬時に容態を確認した。
心臓音、血圧、瞳孔の動き
外傷は腹に何発か。2、3……5発…
(ここまで…)
弾丸だけでなく、他にも傷は見られる
「撃たれたのは何分前?」
「6分前ほどです」
経てば経つほど、出血の量は増える
ここから運び出しても間に合わない…
「雅。どうなんだ?」
「……」
たった数秒で頭の中を整理し、やるべきことを判断した。
「ここで執刀する」
『!』
さっきまで戦闘の真っ只中だった所での執刀を決意した。
「だ、大丈夫なんか?」
雅は動きやすくなるよう、青い陣羽織を脱いだ。
「今この場から動けば、逆に天人の残党に落ち合ってしまう可能性もある」
小さいバッグから、手術用具と手術用手袋を出した。
人ごみの中から1人の志士が来て、雅の肩を掴んだ。
「お前…!」
高杉はそれを止めようとしたが、
「お願い…します…」
その志士はか細い声から段々声を張り、震えてる腕で訴えた。
「コイツ……俺のことを庇ったんッす。無二の親友で…この戦が終わったら、一緒に帰るって約束した馴染みなんッすよ…」
雅は真剣な表情で、その志士の話を静かに聞いた。
知ってた
今、この瀕死の状態の志士はこの人の幼馴染みで、兄弟も同然の間柄なのも
「もし必要なら俺の臓器を使って下さい!
俺の親友を……大切なダチを助けて下さい…!お願いしますッ!」
志士は、今にも涙が出そうな目をして懇願した。
「……」
雅は、自分の肩を掴んでる手をゆっくり取った。
優しく触れ、そして、優しく微笑みかけた。
「大丈夫。必ず助けるから」