第6章 継続は力なり
さっき言われたのを、そっくりそのまま返した
“止めなきゃマズい”と、そう本能が体を動かした
目に焼き付いた、あの横顔
あれは見間違いだったかもしれねェ。だが
さっきのようなあんなツラは…見たくない
雅はゆっくり高杉の方を見た。
「私はいつも冷静だよ」
見たところ、殺気立ってるのは変わらないが、
真剣な表情に固く何かを見据えてるような目
我を失ってる訳じゃなかった
銀時は先走りそうな雅に警告をした。
「雅。オメーの愛想ねェとこは昔から知ってるが、間違っても生き急ぐなよ。
周りが見えなくなるのァ、
自分自身を見失うのと同じだ」
(!)
言ってる本人は体たらくな感じだが、その言葉は雅にとって…
(……松陽先生にも、言われたことあったか)
たまにある。銀に何か言われた刹那
“それ”が松陽先生の言葉と似通ってると錯覚することがある
それは単なる私の思い込みか。それとも、
偶然ではなく本当に…
銀は私の兄弟子でもあるから
つまり、松陽先生との付き合いも私より長いから…
別のことを考えるうちに、張り詰めてた私の気は静まり、銀の忠告に従い一旦警戒心を解いた
「私は晋助と同じ迷子になるつもりもないし、まっぴらごめんこうむる」
「俺はもう迷子前提なのか?」
高杉はまたさり気に優しくツッコミを入れた。
認めたくないが、晋助より全然背の小さい私なら、本当に迷子になりかねない。だが
成人前のいい大人が、迷子センターでコールされるほど恥ずかしいものはない
私は、背は子供でもそれを除けば一応大人だ
※体は子供でも頭脳は大人。名探偵コ○ン?
恥をかくのはごめんだ…けど、
「銀。晋助」
柄でもなく自分から銀時たちを呼び、顔も合わせずそのまま2人に向けて言った。
「私は…
たとえ アンタらの荷だと言われても、
たとえ 自分自身を見失っても
アンタらがいる限り、
何のこれしきと思ってる」
さらに、自分の心情までも話した。
そして静かに、本心を言うかのようボソッと優しい声で呟いた。
「それに何でかね…昔から
アンタらと一緒だと不思議と
負ける気がしないんだよな…」