第1章 大切な君へ【藤堂平助】
私が目を覚ました場所は、うずくまっていたはずの道の片隅ではなく。暖かい部屋の中だった。
どこだろう?そう思っていると障子があいた。
『おっ!起きたみたいだなっ!』桜が舞い散る夜に出会った少年がそこにはいた。
えっ!?まさか私売られちゃう!?少し震えながら
『どっ。どなたか知りませんが…ここは……どこ』
言いかけた。するとグーっとお腹がなった。
恥ずかしい。赤面する顔を両手で抑えた。
『はははっ!腹減ってんだろ?食えよ』笑いながら少年は私におにぎりを渡してくれた。
『ありがとう……ございます』
何日ぶりのご飯だろう。お腹が空いていたからなのか……
それとも別の理由があるのか……少年からもらったおにぎりは涙が出るほど……美味しかった。
そしていつの間にか私は泣きながら私情について話していた。