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【イケメン戦国】時をかける妄想~

第7章 二人の宝物


「こーら、日向!それはダメだ!」
信長の食べる金平糖を
キラキラした瞳で見つめ、
抱きとめる秀吉の腕から
なんとか這い出そうと暴れる日向。

「これが欲しいのか?」
信長が挑発するように
金平糖の瓶を振ってみせる。

「あーう!んーま!ま!」

バタバタと手を必死に伸ばし、
食いしん坊魂を炸裂させる日向。


「あ!おい!春日、止まれ!」
秀吉が政宗の声にハッと振り返ると
部屋の隅にまとめてある書簡を
バラバラと崩し、その中の一つを
振り回しながら走り回る春日。

「キャハハ!まーむね!」

「追いかけっこじゃねえ!」

「こら!春日!」
秀吉が止めようと立ち上がると
その隙に日向が信長めがけて走り出す。

「あ!おい、日向!」

秀吉の制止も虚しく、
信長の持っている瓶めがけて
思い切り飛び込む日向を
それまで傍観していた家康が
既のところでキャッチした。

「‥はあ、面倒くさい。」

「ふん、お前も大差なかったがな。」
何かを懐かしむように目を細め、
瓶から金平糖を一つ取り出す。

「ここまで来た褒美だ。」
ポイっと日向の口に一つ放り込むと
パアッと顔を輝かせて両頬を
小さな手のひらで包み込む。

「ん~~まっ!」
ありあと!と、ペコリとおじぎをする
その愛らしさは凛譲りだ。


ほっと胸を撫で下ろした秀吉は
背後に忍び寄るもう一人の天使を
ゆっくりと振り返る。

「ちーち!こち!」
こっちだよー!と言わんばかりに
書簡を一つ振り回しながら
廊下に走り出て行く春日。

「春日!大人しくしろ!」
バタバタと後を追う秀吉。

それを見て、置いて行かれると
思ったのか日向も後を追い始めた。



「‥どうします?」

「俺はもう疲れたぞ。」
家康と政宗が目配せをすると
上座で金平糖を食べながら
信長がフッと笑みを零した。

「放っておけ。なんとかするだろう。」


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