第13章 俺の相棒【刀剣乱舞コラボ】
「おかしいですねえ‥。」
その晩、うんうんと唸るこんのすけに
一期が問いかける。
「どうされました?」
「審神者様と連絡が取れないのです。」
昨夜は繋がったのですが、と
こんのすけは不思議そうに首を傾げた。
「遡行軍のせいかねえ?」
隣で薬研が空を見上げる。
今宵は静かに雨が降り、
月も星も輝いてはいない。
「大分、近いぜ。」
「じれったいですねえ。」
桃色の髪を手で梳きながら
宗三がため息をつく。
「恐らく、今夜から明け方‥か。」
長谷部が本体である刀を握る。
「‥さっさと終わらせて帰るぞ。」
「そうだね。」
ボソリと呟く大倶利伽羅に、
光忠がニッコリと答えた。
「駄目だ!」
刀剣達が静かに闘志を燃やす同時刻。
珍しく語気を荒立てる秀吉と
向かい合う凛の姿。
「皆が傷つくかも知れないのに
ただ待ってるなんて出来ないよ。」
足手まといにはならない!と
凛は秀吉を見上げる。
「駄目だ!危険すぎる!」
相手は人間じゃないんだぞ!
と、秀吉はため息を吐いた。
「‥私が‥。」
凛はぐっと拳を握り
俯いたまま呟いた。
「私がこの世界に来なければ‥」
本来、歩むべきだった歴史。
出会う筈の無い人々。
「こんな事にはならなかったのに‥。」
固く握った拳にポタリと雫が落ちる。
「‥凛。」
「宗三さんにね、現代に帰らないかって
誘われたの。」
「‥ッ!」
秀吉が瞬間、息を呑む。
「‥でもね、断っちゃった。」
本当は帰らなきゃいけないのかも知れない。
変えてしまった歴史。
出会えた大事な人達。
それでも傍に居たいと思ってしまうのは
勝手だと分かってる。
「私も力になりたい‥守りたい!皆を!」
強い意志を宿す瞳に
少しだけ滲んだ涙は凛の
決意を表しているようだった。
「‥わかった。」
そう言うと秀吉は凛を
強く抱き締めた。
「必ず俺の傍にいる事。」
「うん。」
「無茶はしない。」
「うん。」
「ここに居てくれてありがとう。」
「‥うん。」
抱き締める腕に力が籠もる。
「傍に居させてくれてありがとう。」
「‥ああ。必ず俺が守る。」
外は雨。
不気味な程に静かな雨音を聞きながら
二人はそっと唇を重ねた。