第7章 二人の宝物
「おい、秀吉。いるか?」
返事をするより早く襖が開く。
「まむねー。」「むねー。」
キャハハと双子達が政宗に
向かって走り出す。
「おっ。お前達今日も元気そうだな!」
日向を抱き、春日は肩にしがみつく。
ちょくちょく顔を出す政宗は
もうすっかり顔馴染みだ。
「今日は何の用だ?」
やれやれと秀吉が立ち上がり、
政宗の肩によじ登ろうとする春日を
ひょいと抱き上げる。
「ああ、信長様から招集があった。」
凛はいないのか?と
政宗が辺りを見渡す。
「ああ、凛は出掛けていてな。」
信長様の命とあれば仕方ない、が
自分が休みだからと、家臣達にも
暇をやったせいで最低限の人数しか
御殿には残っていない。
「仕方ない、連れていくか。」
秀吉は家臣に凛が
帰ってきた時の為、言付けを頼み
簡単に支度を済ます。
「痛てっ!こら、待て!春日!」
「むねー。まんまー。」
「あ?日向、飯は後だ!」
ほら、捕まえた!と春日を抱き上げる。
政宗の腕の中で逃げ出そうと
ジタバタ暴れる春日を
応援するように、日向は
政宗の足をポコポコと叩く。
「日向、お前も捕まりたいのか?」
「さて、行くか。」
秀吉は日向を抱き上げ、
にっこり微笑んだ。
「お前達、大人しくしていろよ?」