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【イケメン戦国】時をかける妄想~

第2章 どこまでも


【徳川家康編】

(凛に会いたい‥)

家康は政務に追われていた。
領地偵察、書簡整理、薬剤の調達‥
気づけばもう丸2日も凛に
会えていないのだった。

(‥イライラする)

凛と恋仲になってから
もうすぐ一月が経とうとしている。

朝、目覚めれば隣には愛しい人が
スヤスヤと穏やかな寝息を立てていて、
柔らかな髪を優しく梳くと
「‥ん?おはよう、家康‥。」
可愛らしい鈴のような声で名を呼ぶ。

仕事の合間に姿を探せば、
中庭の庭園を望む縁側に
ワサビと戯れあう凛の姿。
ふと視線が合うと華が咲くように
ぱっと微笑む愛しい人。

手を伸ばせば、すぐ触れられる。
ここ最近はそんな幸せに浸っていた。

(‥‥もうダメだ)

家康は手にしていた筆を置き、
衝動的に立ち上がる。

(少しでも‥会いたい)

目の前に山のように置かれた書簡を睨み、
フラフラと凛を求める様に
家康は部屋を後にした。

(どこにいるんだろ‥)
ここ最近は安土城に籠っていたので
家康の御殿で暮らす凛の
様子がわからない。

(御殿に帰るか‥いや最近は針子の仕事も
何件か受けていたし‥)
ブツブツ考えながら廊下を歩く。

「おっ、家康ここにいたのか。」

「‥政宗さん。」
頭の中には凛の事しかない家康は
正面から政宗が歩いてきている事さえ
まったく気づいてなかった。

「お前、御殿に帰ってないらしいな。」
ニヤニヤと政宗が口端を上げる。

「‥だからなんですか?」
苛立ちを隠そうともせず睨むと、
おー怖い、怖いと政宗は肩をすくめた。

「今日は御館様が先の戦の勝利祝いをするそうだ。
お前も参加させろとよ。確かに伝えたぞ。」
じゃあな、と政宗は家康の肩をポンと叩き
踵を返して去っていった。

信長主催の宴‥。
朝方まで飲まされるだろうと
いうことは容易に想像できた。

(‥また帰れないのか。)

フツフツと家康の心の中に
怒りが沸き起こっていた。
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