第6章 幸せの欠片
「‥ぷっ。」
クククッと信長が何かを思い出すように
肩を揺らし、笑い始める。
「‥御館様?」
「‥これは珍しい。」
秀吉と光秀は、それぞれが
右腕、左腕として仕えてきた主君の
初めて見る姿に呆気に取られた。
「政宗さん、何したんです?」
怖いんですけど‥と家康が
信長をげんなりと見やる。
「信長様のあのような姿が見れるとは‥。」
さすがでございますね、政宗様!と
三成はキラキラと微笑んだ。
「‥クククッ。俺の口からは言えぬな。」
ハハハっと信長は笑いを洩らし、
こみ上げてくる笑みは
まだ当分、収まりそうもなかった。
「ね、ねえ政宗。何したの?」
凛はこっそりと隣に座る
政宗の裾を引く。
「‥帰るぞ、凛。」
押し黙っていた政宗は
急に凛の手を引いて立ち上がる。
「え?!ちょっと、政宗?!」
そのまま引こずられる様にして
信長の笑い声を聞きながら
広間をあとにした。